NC加工をしてみる(1)

実用的なNC加工を直接試みようとすると現実的には、素材の固定やサイズなどの制限がありまた工夫が必要となります。里にあるNC加工装置は、オリジナルマインド社のQT100とCIP100あとはsmartDiysのFaboolLaserMiniです。

今回IoT装置となるものは、配電ボックスなどに用いられるタカチのケースなのですが、搭載部品となるArduinoや専用シールド基板などを内部のベース板に取り付けるための穴加工が必要となります。ほかにもいくつか取り付けるパーツはあるのですが、精度が必要なのは前述のものたちです。樹脂でできているベース板なのですが裏側にリブがあったりして実寸の穴位置加工図面を貼り付けてボール盤でトライしてもらいましたが、うまくいかないというのが経緯です。

この板自体は安いものですが、本来は現地でブレーカーなどを止付けたりするもので精度の必要な穴位置が要求されたりはしないものなのでしょう。一応メーカーサイトには加工受付のリンクもありましたので、クライアントの意向もあって見積もり問い合わせをしてみました。ざっくり追加の穴加工16箇所と材料込みで一枚の場合には7000円なりということで中間マージンもあるのでしょうが、さすがにクライアントさんの要望範囲ではなさそうなので丁重にメーカーさんにはお断りを入れつつ、数量的には100台くらいの加工までをしなければならないので再度見積もりはお願いしました。

精度の必要な穴加工を実現するための冶具作りをNCで行うのが現実的かと思われましたのでガラエポ基板かアルミ板を加工してブロック単位でゲージを作り、さらに必要であれば垂直精度を助けるためのガイドパーツを3Dプリンターで作ろうというのが今回のNC加工トライアルとなります。大きなサイズのNCフライスがあればよいのですが、あいにくと160×100がサイズ制限となるので精度の必要な基板取り付け部分などのブロック単位で冶具を作ることにしました。

この週末は、その報告ができるかと思います。

3Dで実装設計してみよう

ベンチャーのソフト会社を経営されている方から、IoT機器を使ったシステム開発のお手伝いを頼まれて若手エンジニアがモノづくりの経験を踏めるようにと今どきの仕事の仕方を追及してみることにした。

開発依頼元は、高専卒の社長が気を吐いているイケてるソフト開発会社なのだが、担当となっているのはベテランの風格漂う雰囲気の現役高専生だ。彼は学生アルバイトとして勤務しているのだが、ちょうど今は夏休みにあたり、今回のプロジェクトは夏休みの間に製品化まで漕ぎつけるという野心的な話でもある。

さて、私自身も平日の週4日は組み込みソフト屋として計測器メーカーの製品ソフト開発に携わっているのだが、小さな会社がモノづくり運営している中で見ている風景と似たようなことが実は個人でも出来てしまう時代なのだなと感じ入ってしまう。フットワークの軽さという意味では個人に分があるかもしれない。

IoT機器開発というパスワードが飛び交って久しい、市場規模は如何ほどなどと続いている。かつての組み込み開発などという言葉が展示会ではすっかり色褪せてしまったかのように展示会のタイトルそのものも冠するところがなくなってしまったりしているのが実情のようだ。プラットホーム競争も結局のところ歯車が微妙に噛み合わないケースが多いようで、小さな開発をしているところでは偶々本流に乗っているという場合もあるだろうし、気が付いたら統合淘汰されてしまったりもしているケースもある。

産業用機器開発の現場で保守が出来ないから、取り扱えないといっていたPCも今では工場用のボードが大手を振って闊歩しているし確かに、古いプラットホームをメンテナンス続けるという使い方にはそぐわないかもしれず、次々と手に入るプラットホームに乗せ換えていくというのが今の時代のシステム開発なのだろう。そういえばプラットホーム維持云々を喧伝していた会社自体がなくなってしまったりもしているのだから議論するよりもお客様に応えていく仕事をすべきなのだろうと思う。

リスクを取らないことでは、利益も出ないし屋台骨を支えるほどの大きな利益が出るおいしい仕事が転がっているわけでもなく、ただし様々な小さな仕事が世の中にはあるようで、そうしたことに取り合うだけのビジネスモデルと対応力を持った元気のある小さな会社とチャンスがつながらないということなのだろう。

MFTといった文化祭なのか展示会なのかといえば、新たな作り手のための発信基地だったり情報ソースを供給する展示会でもあったりする中では元気な人たちの姿も多く見える。皆さん自身の信ずる道を実践されているのは素晴らしいことだ。若者に電子工作で好奇心を育成しようという御旗のもとに進めてきた組み込みの里もいよいよモノづくりを実践しながらそうした活動を若者に見せる時期に入ってきたようにも思う。

以前からいろいろと相談されてきて応えきれなかったことについては、反省のいたりだがでっち上げとしてリスクを自らがとることで人のつながりと仕事の繋がりが出てきたりして、今はその次の段階に入ってきたようだ。今回のお題は、IoTのシステムを受諾開発するという流れではあるものの尖がったビジネスチャンスに気づきそのために必要なものは自らがそうした機器も開発しないとこうしたチャンスはモノにできないということを体現されている若者たちが中心にいるようだ。

そんな若者たちをモノづくりが出来るように支援するという巧妙な罠のような形で私に取り入ってきたのは何か時代の流れなのだろう。今回はこの蜜の匂いのする仕事に取り組んで若者に刺激を与えるように仕事をしてみることにしたのである。IoT機器として開発しなければならないものはある意味でMFTにあるようなプロトタイプのものと同列かもしれないのだが、こうしたビジネスの匂いをかぎ取る若いリーダーと経験の浅い若者とモノづくりに携わってきたシニアがマイペースで向き合うというのは互いに刺激的なことであるようだ。

モノを作るうえで決めなければならないこと、考えなければならないこと、選択した思考についての経緯を説明しないと彼らには血肉にはならない。幸いにして今では3次元設計がどこでも自由に使いこなせる環境が若者たちにはあってこれらの使い方を示していくことは重要なことだと思う。小さな会社でも当たり前のように今では3次元設計をしていくための高価なツールがマストアイテムとなってはいるものの、そうした会社組織が活用してビジネスチャンスにつなげているのかどうかは別の話でもある。

究極的にはスイッチの入ったモノづくりの意識の高い学生たちと彼らが使いうるフリーな教育目的のライセンスで使える3次元設計のツールを使いつつ開発成果を公開して全国の小さな規模の問題解決を各地にある若人たちの叡智の連鎖でつながっていけるようにしていきたいと思うので、まずは自分で使いこなしについて挑戦してみる次第だ。

三次元設計は、ちょうど20世紀の終わりに始まり、21世紀の今ではごく当たり前の話でもありとはいえモノづくりをしない限り考えなければならないポイントについては経験などからくる実際の使われ方や作り方などの考慮がないといけないのは三次元設計でなくとも必要なことなのだが、要は失敗して学ぶか、仮想設計としての三次元設計で思いを馳せることが出来るのかということなのだろう。

まずはモノづくりのベースとなる使用するパーツやケースについての2D/3Dモデルを入手することから始める。小さなパーツメーカーなどは必死にこうしたデータを提供サポートしているように見えるのだが、大手企業ではDXFのファイルですらも中途半端になっているような状況も見え隠れする。昔ながらの寸法図があれば良いのではとでも思っているような思いが透けて見える。

まあ、そうした図面から3Dモデルを作り出しても良いのだが、作り出したモデルがEAGLEのパーツ情報と同様に個人持ちになってしまうのはという危惧は、実はすでにソリューションがあった。GRAB CADというコミュニティでアーカイブ出来て皆さんが作ったものが様々なCADのフォーマットとして流通する仕組みが出来ているのだ。モノづくりを標ぼうするのが国の方向性ならば、いまどきのこうした仕組みに対してスポンサーシップでも行ったり進んで国産の部品公開を推進させるようなことこそが求められるとは思うのだが、地道にこつこつと出来ることがあるというのはありがたいことでもある。

むろん間違って登録されたものやタイトルが違うものもあるのは仕方がないことで、それと向き合って修正したりして貢献するということを考えていくのがいまどきの仕事の仕方なのだと思う。

基板作りでHello World

E君は、すでに春休みに入っているので学寮からではなくて、自宅から車で里に来られている。前回、作成した基板設計に問題があったそうだ。

今回は、その修正と追加基板の作成に来られている。前回と違って手慣れた動きになっているので、少しは早く帰れるかもしれないのだが、すでに二時間を費やしているからも、八時過ぎてしまうのではないかと危惧している。

T0.8の基板を二枚作りハトメで連結するので少なくとも今回の場合は四枚仕上げる必要がある。

これで出来上がると中華メーカーに製造依頼するというのが最近の流れなのだが、彼は初めての基板にちゃんとシルク印刷でメッセージをいれたいそうだ。それがうまくいかないのだそうだ。

いれたいメッセージは白黒で描いたHello Worldのロゴだった。里ではULPの機能を使っていれたことはないのでネット情報やマニュアルなどから何が間違っているのかを横からみているとはまってしまった問題が二つあった。

彼が作成したイメージは白黒ではあったが24bit諧調のBMPだった。少なくとも256色以下に減色しないと扱えないのだが、実際に白黒の描画したので気づかないというものだった。ツールは正しく減色しろというメッセージを出していた。

減色するにはPaintソフトでフォーマット変換して保存ということになるのだが、ここでは、この作業の際に名前を変えて保存することになりすなわちオリジナルファイルとは違うパスに置かれてしまうのだが、その点に気づかずにオリジナルファイルを参照していたようだった。サイズが減っていないことを指摘してパスが違うことを理解してもらい、いわゆるピクチャフォルダに変換後のファイルは保存されていた。

あとは彼の頑張り次第だ・・・