QIDITECH Ⅰ 3Dプリンターの修理整備(3)

コネクタからヒーター24Vへの給電においてゴミなどがショートを起こした模様

焦げたコネクタとターミナルが痛々しい、修正した基板が先方に届き故障にいたった基板が取り外されて写真が故障個所がクローズアップされて入手できた。隣接するFETの様子からは、炭化するような状況でHBDが加熱できなくなったらしい。コネクターでの末端処理が解れてゴミでショートが起きてこの事態になったらしい。

 

対策として行ったこと

  1. ターミナルとコネクタを外してパターンが生きているかどうかを確認
  2. コネクタ付け替えを実施しパターン損傷した箇所についてブルーワイヤ処理済
  3. ヒートベッドの動作確認実施
  4. 2系統のエクスルーダーの動作確認実施
  5. サンプル印刷を実施したところY軸動作でしばらく印刷後異音がしてズレが生じた。Y軸の駆動ベルトが正しい位置にいないようだ。

再度Y軸の駆動系統を組みたて直すことで歪をとることが対策と思われるので今週対処予定。

 

3Dプリンターの修理と整備(2)

QIDI社製のプリンターはMakerBot Replicator(ATMEGA2560)のオープンソースに基づいて開発されてきたようだが、Xシリーズ(X-One, X-Pro)からはSTM32マイコンに置換されてきている。以下の基板は、左上がX-Oneの物で、左下がX-Proの物です。右下がTECH1(AvatarⅣ)の物です。
X-Proと基板自体は共通で設計されているようですが実装されている部品は異なります。X-Proでは互換機の系譜で始まったビジネスと少し付き合う形の結果としてこれらの基板が残っているので整備して使えるようにしておきたいと思っています。

 

 

同一メーカーなのでセンサーやヒータへの結線コネクタは共通
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アマゾンでも可能

Xシリーズは、保守サービスの一環や試供品などのモデルとして提供されたもので当時流行ってきたコンパクトなシングルノズルの低価格な路線や筐体に樹脂と金属高級感を出そうとしたりといった流れが出てきたものだ。

X-ProとX-Oneではタッチパネルが搭載されて、32ビット化の恩恵でslicerから造形品のアウトラインがハンドルされて表示確認が出来るようなSailfishという世代のソフトに置換されている。また、X-ProではWifiモジュール(ESP1)によりremoteシリアルポートを介して印刷できるようにもなった。slicerソフトの改版とこうした機器側の改版とが相まって若干の矛盾が生じていたようにも思い返す。

TECH1の整備と併せて、これらの2機種用の基板についても改修整備をしておこうと思います。Wifiモジュールが搭載されていたのかどうかは不明ですが当時の設定情報などについて中華メーカー担当者とやり取りをさせていただき確認をしたので引き続き進めたいと思います。Wifi印刷は便利そうな反面USBメモリでバッチ処理をさせたほうが安心かなという気もしています。

 

3Dプリンターの修理と整備(1)

組み込みの里ではQIDITECH社の3Dプリンターの修理整備を多数扱ってきた。もともとは、購入して使い勝手の意見などをメーカーに送っていたことからの派生だった、さて、そのQIDITECH 1(FlashForgeのさらにClone)は現在、購入したオリジナルの物と里子に出して子供たちにSTEAM教育をされている知人の所で活用してもらっている。ほかにもX-One, X-Proなどのモデルも扱ってきたがTECH1でのフィードバックが活かされてきたのか品質はとても良くなって修理整備サポートも終焉していた。

里子に出していたモデルは活用されていたようだったが、ヒートベッドが加熱できなくなったという連絡があり修理か購入を考えているという相談が届いた。添付された写真からは、ヒートベッドへの引き出す配線端子が焦げているようで埃から発火したのか、電流が流れるところとは言え線材処理でほつれた髭でもショートしたのだろうか。

Messengerでやり取りをしたうえで修理整備を委託されていた時代の部品の残りがあるかどうかを里に来てから確認した。予備の基板は見つかった。これが不良なのか、正規動作をしていたのかどうかも確認する必要がある。購入して現在はオフラインにしていたQIDITECH1を稼働させて動作確認をすることにした。うまく動作していれば、動く基板を送り、予備基板の動作も付け替えて動作確認をする。

MakerBot社のOpenSourceだった時代のハードを中華メーカーなどが次々とボードを作り直したりして出来ているのが実情だ。8ビットマイコンのATMEGA2560が搭載されているものだった。オリジナルのReplicator1はATMEGA1280だったそうだから、実際にはメモリ領域については幾つか課題があるらしい。ブートローダーの配置領域とアプリケーションの配置のコンフリクトだ。Arduinoで伸びてきたATMEGAなので共用活用されていると思われる。

2つの基板を動作確認するとそれぞれ問題が分かった。

故障品 稼働品(?) 予備品
問題 ヒートベッドが加熱しない。それ以外は動作しているようだ 実はヒートベッドが加熱できなかった メインボードが立ち上がらない
状況 HBD接続端子が焦げ付いている写真を見せていただいた HBD用FETを交換した後があり、はんだ付けが途中のように見えた。 5V電源が出力されていない。

ヒートベッドコネクタが違う

見立て・対処 引き出し線の所でショートしてFET(PSMN7R0-30YL)が壊れたのではないか。
FET交換と端子交換で対処予定
FETの半田付けで復旧

OK

スイッチングレギュレータ制御チップの手配(L5970D)。
回路図を基板からトレースする中で周辺回路の電圧がおかしいことから、表面実装の抵抗の半田付けを修正したところ立ち上がった。OK当該のターミナルはコネクタ型に切り替えた。OK

予備品と本体が動作したため、本体に入っていた基板を送付して交換確認していただくことにした。故障した基板については返送送付していただき、こちらで稼働本体を使って検証することを予定している。検証確認が出来たら、こちらの機材も活用していただくように引き渡しする予定である。

制御基板は24V電源で動作していて、過熱系統はFETを介して、24Vを用いていて、モーター制御オンボードで5Vと3.3Vを作り出している。

取り出した基板の確認をするために、24Vの電源がないことに気が付いたが、正負電源があったので±12Vにして24Vを作って実験稼働させることが出来た。予備基板はおそらく初期不良で半田付け不良が見つからなかったのかと思われる。

故障基板が帰ってきたら検証を再開します。

手配した部品
PSMN7R0-30YL 3Dプリンタ FET
L5970D 1A スイッチングレギュレータ

 

 

 

 

電池半田ごてのボディを直す(Step2 STLファイルを作成し、gcodeに変換して3Dprintして評価してからFusion360へ戻す)

電池駆動半田ごてケースの修理の続報です。

底面の形状をスキャンしてBMPからInkscapeでトレースしてSVGにしてFusion360に取り込みました。ここまでは前回お知らせしました。


Inkscape上で取りこまれトレースした底面のカーブです

DSC_0590

実際のサイズは、WHD 37×24.7×6でした。

取り込んだSVGのスケッチを6mm厚で押し出してから、この実物のサイズとスケッチのサイズWHを測定して比率に基づいて拡大を行った。

現物を観つつ、ノギスで計測していきます。外観のカーブが取れているので、スケーリングで合わせます。残りはちまちまと合わせていきます。

レビューをしたつもりで、スライサーにSTLファイルを読み込ませました。

スライサーソフトに読み込ませた状態

種々パラメータ設定してスライス処理を実施

ほどなくスライスが進み

48分の所要時間を示して、gcodeファイルが生成されました。
これをUSBメモリに入れて3Dプリンタで印刷するのが現在の運用です。ちなみにプリンターにWifiも有るのでリモートでの印刷も可能です。

一見良さそうな試作設計段階でしたが・・・・

評価してみると・・・・

爪が折れた試作の写真

左側の付け根との間に溝があるのは作図不良と検証ミスで1mm厚みが薄くなっていた。

折れてしまいました。構造が不味かったですね、不正確な作図で薄くなっていました。気を取り直して修正して作成しました。まだ、サポートが付いている状態がこちらです。

DSC_0618

DSC_0617

サポートを取りました完成品

DSC_0601

装着した段階です。

無事に装着して嵌合も出来ました。

強度的にもよさそうです。

 

3D-Printer Fix Study Challenge (木更津高専生限定)

対象となるのは、組み込みの里で、導入してきた初代3DプリンターであるRepRapベースのRobo3D R1ですのでオープンソースで改造や活用が容易なものです。

第二の居場所として活躍予定でしたが、出戻ってまいりました。修理が必要な状況ですが、無償で必要な修理材料ならびに指導を提供します。修理期間中の里の利用料は無料でご利用いただけます。修理完了後のプリンターは無償提供いたします。

  • 募集期間 2018/12/29から2019/1/26
  • 募集対象 木更津高専の学生(個人でもチームでも)
  • 募集条件 参加者の方たちの修理活動についてはホームページで逐次公開させてもらいます。
  • 応募方法 電子メールで下記内容をお送りください。
    参加希望の方の名前、学科名、学年、メールアドレス、修理が終わったプリンタ―の活用方法について記載してください。
  • 選考結果は、1/28にメールでお知らせします。
  • 修理期間 2019/2/2から2019/3/24 (この期間は里の利用料はかかりません)
  • この期間を超える場合には、里の利用料を申し受けます。

ポリカーボネートフィラメントの利用の注意

写真は、組み込みの里でカスタマイズして接着不要で組み立て分解可能にした電子工作用ミニバイスである。下の黄色はABSで作成したのだが、上部は最近気になって試していたポリカーボネートを利用していた。色合いは良いのだが、結着が弱いことが判明した。理由は、ホットエンドの加熱不足で、現在使用しているQIDI-Xproでは最高温度として250度までしか上げられないことが要因と考えられる。

また、テーブル温度は130度まで上げて行ったのだが、このバイスの要となる左右の咥えるパーツが反ってしまいNGとなった。今回の問題になった部分は、反りと結着不足だが、結着不足の箇所は左右に取り付ける星形プラグで連結させるストッパーと回転調整用のツマミだった。根本で結合が外れて折れてしまった。

強度的にポリカーボネートに期待していたのだが、もう少し高温設定が出来るプリンターでないと、使いこなせないようだ。高性能フィラメントが色々と出て来るのだが、プリンターメカの問題と共に温度制御をしているソフトウェアの問題もありそうだ。解決するまでは、ちょっとABSに戻ってみたのだが、こちらも同様な状況になった。フローを101%に増やして層間の結合を強くしてみようか。

やはり、250度ではポリカーボネートフィラメントの活用は難しいということが分かった。同色のABSを用いて従来と同様な形で出力を終えることが出来た。

新学期に向けて

気が付けば、高専の学生Eさんはもう春休みになっていました。今日の課題は、ハトメで連結する両面基板の開発とのことです。いろいろとやっていると時間が遅くになりましたが、なんとかしあがりそうです。0.8mmの基板を二枚しあげています。

 

 

 

 

 

管理人は、里の泊り環境を向上するため懸案事項の排水口からの臭気到来を防ぐソリューションを開発していました。完成品はカスタム設計したこのトラップです。内径55mmの排水口に合わせて、およそ53mm径のユニットとしてトラップを設計してABSにて出力しました。断熱効果良好の新型マシンで出力すると背の高い出力でも安定して収縮もみられずに出力完了しました。設計はFusion360です。今回は、トラップなので回転構造を用いての設計をしています。

 

 

 

また、3D出力依頼されていたパーツも出しています。持ち運べる? 体に装着可能な外骨格の椅子を開発している金沢高専OBの花岡君が開発している試作品用のパーツです。先日、Robo3Dを貸出展開したのですが、安定度にかけるという報告などがあり取り急ぎ出力支援をすることになり、以下のパーツを作りました。

なかなか3Dプリンターの使いこなしは難しいということですね。外骨格の試作品に適用するには強度も必要で、ABSで60%充填+外殻3mm以上ということでした。

 

 

 

新規追加の3Dプリンター QIDI社のX-Pro

 QIDI社のDual headモデルの新型X-Proモデルを追加導入することになりました。里に一昨年導入したTECH1モデルの制御基板の刷新や、筐体構造の進化などがあげられます。

Wifi接続
タッチパネル
3D表示
一体型トップカバー
出力プレートのマグホールド化
横開きの前面ドア
左右窓のマグホールド

整備工具などの整理箱の添付など
標準添付のフィラメントはPLAとABSの二種で各1kgです。

スライサーソフトが従来のMakerbot互換から変わり、Curaベースのオリジナルなものになっています。

ファイル拡張子は.gcodeになりました。
  

お待たせしました、今週11/25-26はオープンします

新型3Dプリンターが追加になります。手狭になるので、古いプリンタ―Robo3Dを整備して知人に提供する予定です。

新型は、QIDI社のDualヘッドのものです。操作パネルがタッチスクリーンに変わり、Singleヘッドモデルと同様に進化したものになりますね。

 

 

携帯電話の充電器基板を起こしました。秋月のケースに入れて単三電池二つと納めることができます。

常識を問うのか、現状認識を合わせるのか

世の中では、すでに認知度は一般化したと思われる3Dプリンターは、日本発祥のものだというのだが、実際のところ席巻しているのは台湾や中国製のものばかりとなっている。オープンソースで公開されたりしていた経緯もあるのだが、コストダウンや差別化でオリジナルの基板を派生して開発しているのが実情だ。左の写真も、そんな基板だ。

とはいえ、モジュール化もされて一見よさそうに思えるこうした基板もよくよく見ていくと常識を超えた事実について現状認識をする必要がありそうだ。

下に並んでいるのはモータードライバーのモジュール群で発熱も多くてヒートシンクが付いているのだが、実際の配置からみるとヒートシンクの向きが考えられてはいないようだ。

今回直面したのは、もう少し根深い問題だったのだが、この基板のワイヤリング方法だった。

ネジ式ターミナルで止めることについては異論はないのだが・・・。よく見ると

配線に適用されているカラーリングの常識は通用しないのだ。こうした人たちと付き合っていくのだということを認識しないと痛い目にあうのだ。
むろん彼らは、意に介さず配線の写真を添付しているので気にもしないのかもしれない。

この写真にあるとおり、普通に違和感もなく配線をしていて正しく双方が合致しているので動作しているという次第だ。今回は、ヒートベッドを制御しているMOS-FETが過熱したせいか故障したようだったので、マザーボードを外そうとしたときに現状の結線写真を撮らずに作業を進めたのが間違いだった。配線のカラーリングにおける電源のプラスマイナスは、中国メーカーには通用しないようだ。痛い勉強代となったが、電源チップ二つが犠牲となり予備のマザーボードも想定外のいけにえとなってしまった。