西山 茂丸 について

組み込みマイコンでエンジニアを続けてきました。今の時代で見えない部分についても体験してもらってより深い理解を得てもらいたい広報教育活動をしています。

[作業メモ] STLファイルの加工について Meshmixer

3Dプリンターを使い始めると、パソコン創成期のように自分で改造していくということが頻繁に発生するようになる。完成品というには、似つかわしくない進化する道具といえるだろう。カスタマイズが共通だったりする場合も、オプションが異なる場合なども含めて共有されるカスタマイズパーツのSTLファイルはthingiverseなどのコミュニティに提供される共有フォーマットとしては有用なのだが、加工をベースにした場合には123Designなどで開いても加工できないケースが多い。

今回は、Robo3Dプリンターに保温カバーを取り付けるという長年の懸案事項に踏み込んだ為にスマート液晶コントローラの取り付けパーツを変更することが必要になった。

2016-07-20 (1)左側の3Dデータが、従来使ってきたものだが、今回取り付け位置を右にずらす必要から、右側のように3Dデータを変更してパーツを作成する必要がある。

踏み込んで使えるように、今回はMeshMixerというAutodesk社のツールを用いて、こなしつつ学ぶことにした。

 

行うべき手順は、取り付け部分のパーツをカットして、スライドしてということなのだが、実際には、それだけでは済まなかった。

Plane Cutという機能で切断面を当該部分の根元に当てようとすると、角度の調整が難しいのである程度あわせて切断面を前後に移動させながら角度を追い込んで適当な位置を求めた。
2016-07-20 (2)写真の下のほうでカバーの一部が、この切断面で切れてしまうことが分かったので、あらかじめ、このケーブルカバーを根元で切断して保存しておき、あとで結合することにした。

 

 

2016-07-20 (3)切り出されたオブジェクトはObject Browserに追加された。この部分を非表示にしておいて、本体の部分のカットに取り掛かる。

 

 

2016-07-20 (4)ある程度のところで妥協すると断面は、すこしスカートが残ってしまうことになった。このままスライドしてもつながらないので、それは断面をextrudeして伸ばして面に接地されるようにしなればならないが、適当な厚みで重なっても問題はない。

 

2016-07-20 (5)切断するとこの動かすべきパーツがさらにObject Browserに追加された。

 

 

 

2016-07-20 (6)移動させてみると断面がおかしなことになっていることが判明したので、これを修正する。

 

2016-07-20 (7)

修正には、Analysis->Inspectorで断面をFlatFilでAuto Repair allを実施してまずはベースの修正を完了したので、このパーツを非表示にして移動した部品の断面を伸ばすことにとりかかる。

 

 

2016-07-20 (8) 2016-07-20 (9)案の定切った断面の前処理が必要なのでベースと同様にAnalysis->Inspectorで断面をFlatFilでAuto Repair allを実施し処理してみる。

 

 

これでこの断面を伸ばすことに取り掛かれる。

 

 

 

2016-07-20 (10) 2016-07-20 (11)selectの画面で、左クリックする少しずつ領域が選択されるので、繰り返し残りの領域を選択して全面あるいは少なくとも周囲を押さえることが必要だ。

 

 

まじめに全部選択してみた。

 

 

 

2016-07-20 (12)Edit->Extrudeでメニューがでるので、ここで長さを調整する。おそらく3mmもあればかぶるので適当なところでAcceptをする。

2016-07-20 (13)

 

非表示にしていたメイン部品を表示にすると重ね合わせが出るので少し長いが問題ないと判断するか調整をするか

 

 

2016-07-20 (14) 2016-07-20 (15)三つのパーツがそろったので、Object Browserですべて表示させて、シフトおしながら選択して、EditからCombineを選択して結合させる。

 

 

Object Browserでも一つになったことが分かるので、これで一応目的は達成した。最後に出来上がったファイルをSTLフォーマットでExportして完了だ。

[便利]フィラメント詰まりの清掃工具に流用

imageスプリング持ち手のワイヤーで線径は0.8ミリ、1.0ミリ、1.3ミリ、1.6ミリと4種類あるのだが全部そろえると便利だ。

実は、これは電動ポンプ式の半田吸引器のクリーニングピンだ。HAKKOだとこの四種類がそろう。

 

[解決その後] フィラメントスプールサイズとフィード課題

image組み込みの里では、割安なフィラメントを購入するようにしているので毎回スプールサイズがまちまちだったりする。およそ1kGのフィラメントも径や厚みが多彩だが、今回はスプール径が大きいもので、写真でいう右側のものだ。

このサイズだとガイドチューブの配置からフィラメントのフィード時の動作としてからがってしまいフィードが止まってしまう事態が起きてしまった。フィードが止まってしまうとフィラメントドライブギアがカスを作り出して詰まってしまいこまった事態になってしまう。掃除は大変だし、時間のかかる出力が失敗したりすることも含めて影響は甚大だ。

対策としてはスプールを逆に設定するようにした。

この問題は、メジャーな課題のようでスプール依存性からの解決に向けてPTFEのチューブ固定位置を空間に移動する形で、先人たちがパーツを作られていた。このプリンターはCreator ProのCloneマシンなので、良くも悪くもコピーされて再現しているということだった。となりのマシンのスプールを借りて、スプールガイドパーツを作成することにした。この現象が起きたのは、透明のフィラメントが切れて、白色に移行したことで発生していたのだった。

image隣のマシンのスプールを利用して十分な空間をあけて、そのスプール問題対応パーツを作成しているのはブートストラップしている状況といえるかもしれない。

フィラメントガイドの補助部品を作ってスプールに対して中央の位置で引き取るようになった。左がオリジナルで、右がパーツ追加後である。

少し大きな部品を作ることで安定になったかどうかはひきつづき評価します。

imageimage左側は処置前

右側は処置後

 

 

 

 

 

image出力に要した時間は、内部サポートもあり11時間あまりでしたが、翌朝無事にトラブルなく完了しました。このサポートに隠れている部品で、古いプリンターの制御パネルをずらして配置することが出来ました。双方のプリンターがABS出力などで恒温状態で出力できるようになりました。

 

 

 

 

imageフィラメントの具合が確認できるように壁にミラーを取り付けました。今日からはPVAフィラメントをセットしてみます。

 

Robo3DにもABS保温カバーを作ろうPart2

imageさて、左のRobo3Dプリンターに保温カバーを取り付けるとなると、課題がある。どこかというと

2014-12-28_22.10.30_preview_featured

 

 

 

そう、制御コンソールの取り付け位置が保温カバーのそれと当たるのである。

 

 

 

2014-12-28_22.10.38_preview_featured

背面にある取り付け部品をずらすことが必要なのだが、複雑な形状のSTLデータの削除は大本の3Dデータのものがないと難しいのだが、STLファイルを直接いじるツールも存在するが使い勝手というと、粘土をいじる感覚のような使い方を念頭にしているようで正確な部品を作るといったことには向いていないようだ。そんなMESHMIXERを使うことにする。このソフトもAutodesk社から提供されている。

 

2016-07-17左側のSTLファイルを必要な角度で面でカットして(Sliceする)、当該のパーツをトランスフォームのメニュから移動させて右側の形にして、STLファイルとして保存した。足元のカバーの長さも若干カットが必要だ。

[更新2]3Dプリンターでの強度確保の課題

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imageimage左の写真は、最近斡旋しているミニバイスのノブだが、十字鍵の結合部で顎を動かす螺子を回すわけだが、螺子の勘合未調整とはいえ鍵の部分が折れてしまうという事例が発生している。

この構造自体は、Robo3D以来続けてきたものだが、この事例のようなことは発生していなかった。プリンターとしての差分の観点からみればフィラメントノズルの径が0.6mmから0.4mmに減ったこともあり充填率100%と差はないはずだが、こわれた断面をみると隙間が見えていて、必ずしも計算された充填率と実際の充填率には差が起きてしまうようだ。

Mattercontolのスライサー設定には、フィラメントの送り量についての調整パラメータがあって1.1から0.9の範囲でいじれるので、これを増やして状況をみてみたいと思う。

また強度差分につながるかどうかは不明なのだがパーツ出力において複数部品の同時出力を行ったことも要因となっているかもしれない。壊れた部品については、単体出力と共に、フィラメント送り量の増加、出力層を0.1mmに減らして層間の密着性を高めてみるということをトライしてみる。

左側がフィラメント送り量がDefaultで右側がフィラメント送り量を5%増しで0.1mmの厚みで出力をしたところ。明らかに空気?がないような透明に仕上がっていて強度は高まったようだ。

十字鍵の部分もあふれかえる状態だ。5%増しは多すぎたかと思われます。こうした状況の場合は、樹脂にアセトンをかけて柔らかくした状態で勘合させて固める戦略でいけます。

[更新2]Robo3DにもABS保温カバーを作ろう

Enclosure_.125_No_feet_preview_featured二台目のプリンターが登場してRobo3DのABS出力に課題があるという話でサポートが出来ないかというのも可哀相なのですが、写真のような立派なケースを作られて保温している方もいらっしゃいますし米国では発売もされていますが、レーザー加工が必要だったりと費用もかさむので二の足を踏んで今となっていました。

 

ホームセンターで売っているプラダンでなんだか作れそうな予感がしてきたので、次のような部品を作って、上のような形状で作ってみようと思います。一部はアクリルにするかもしれませんが。

imageこれでコーナーをクリップします。同様な角のパーツも作る予定です。プラダンの材料は300mm幅で90cmでも300円しませんし、厚みも4mmで保温性の点でもよさそうです。見た目の透明でないことが課題ですが、一部アクリルにしても良いかと思います。

仮組みした感じは下のようです、実際には角に裏側から透明テープがプラの角材を当てるのがよいのかもしれません。

思いついたら吉日とホームセンターで見かけた足でプラダンを買ってきました。カーブは、物にあてて、プロットしました。カッターで切れて簡単imageですね。

長いラインの部分の詰め物はテープで良いかな・・・仮止めは色付きでNGだけどね

 

 

 

 

 

 

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とりあえず、少し量産してみる。
この構造の部品は、サポート無しで綺麗にでる。コーナはサポート指定しないとNGでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

imageプラダンだと中身が見えないのであり合わせの4mm厚みのアクリル端材を使って窓を付ける形にした。上と前から覘けるようにした。プラダンの材料として連結とコーナー部品は売っていたので、それを使っている。

 

 

 

 

 

imageimageimageimageimageようやく最終形に近づいた。あとは液晶コントローラの位置を右にずらす部品待ちです。

 

 

結構奥に長いことがわかる。この中で、テーブルが前後に移動する構造なのです。新型プリンター同様に保温筺体に入った形になるのでABSの出力などをこれで変形問題を少しでも解決したい。

 

カバーはひっかけてあるだけなので、軽く簡単に外すことが出来ます。

Robo3Dフィラメント交換のワンタッチ化

新型プリンターが来て、3Dプリンターの二台体制になると、使い勝手の差で改善できるものは改善したいということが鮮明になる。

フィラメント交換において、エクストルーダーに対してフィラメントを押し付けるネジの開け閉めならびに、その際に飛んでしまった場合のワッシャー収拾のわずらわしさなどがRobo3Dには残っていたので、レバーで交換出来るQIDITECHのプリンターと同様な形にしようということになり、適当な先人達の成果を探したところよさそうなQuick Filament 交換対応という工作が出てきた。
こ゛

imageそして、新型プリンター側でABSを使って部品を出力してみました。生憎とM4の長いビスと書かれていたものが50mmでは不足していることが判明して70-80mmのビスを買ってきます。

また、洗濯バサミのような上の部品にたいしてM4のビス二本を通した下の部品をひっかけて使うのですが、下右側の部品はオリジナルのまま出力しましたがサイズの差からビスを通すと穴径が小さくてフィラメントによる積層が割れてしまいました。経験値として学んでいたことでしたが、忘れていました。2%のサイズ増しをこうしたパーツには適宜適用することで解決しました。下左がそうして出来た部品です。

3Dプリントで作成する部品は、こうした精度が気持ちよいので、印刷で派生するいくつかの誤差については理解してあらかじめ対策をすることが、低価格の3Dプリンターを使いこなしていく要のように感じます。

image生憎とホームセンターであったM4は、50mmまでで、壁に止めつける部品の中にM4 64mmのネジを見つけるのがやっとだった。しかし、これでも長すぎるようで切る羽目にはなった。

収まり具合からするとよさそうなのだが、ビデオで見れる状況とは異なるので、まだ何か考え違いかベースの部品も改造がいるのかもしれないようだ。

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Mattercontrolによる3Dプリント出力(g-code/x3g)の流れ

imageRobo3D R1プリンターについて
組み込みの里で稼働している初代の3Dプリンターで、Reprapというオープンソースベースの派生プロジェクトとして2014年初めに出荷が開始された米国スタートアップベンチャーRobo3Dの製品です。里にやってきてから、そろそろ二年ほどになります。初期製品からのアップグレードを続けて現在の製品と同等レベルにまで更新してありますが、開発元が米国サンディエゴということなので気候条件などについて恵まれた環境であり、使用環境が四季のある国ではいささか問題となり悪戦苦闘してきた経緯があります。現在安定出力ができる環境としてPC直結ではなく、g-codeファイルをSDカードで渡す形式で利用しています。

image最近追加されたのが右側のQIDITECH社のAvatar IVというモデルです。機能的にはMakerbot社のReplicator2XやFlashforge社のCreatorPro Dualというモデルの互換機種として現在は利用していますが特に大きな支障はありません。こちらの場合にはX3Gという形式のファイルをSDカードで渡して出力します。

二つの異なる3Dプリンターを使い分ける意味も含めて共通のオープンソースソフトMattercontrolを用いて3Dモデル(STL)からプリンター制御するためのコード生成をするように整備しています。

ご利用される際には、STLファイルをお持ちいただいてMattercontrolを用いてRobo3DならばG-code、Avatar IVならばX3Gを生成していただきSDカードに書き込み印刷するという手順になります。SDカードに書かれる場合にはファイル名の長さにもご注意ください。拡張子込みで31文字となっています。Avatar IVの場合にはX3Gですので最大27+”.X3G”となります。

R1(Customized) Avatar IV
 速度 0-50mm/S 0-150mm/S
層厚み 0.1-0.3mm 0.05-0.2mm
サイズ 210x228x168* 230x150x150
フィラメント PLA/ABS/NYLON PLA/ABS/NYLON/PVA
 Extruder Single Dual
 Control G-code X3G

 

3D設計から、印刷に至るまで
3Dデータを一から起こす場合や、既存データを改造することから始めるなど様々ですが、趣味での利用ということも含めて無償で活用できるソフトをベースにした里での事例は次の通りです。

既存データアーカイブから先人の事例を学びましょう STLデータを参考に活用できます。
(役に立つアイデアや利用可能なパーツが見つかります)

thingiverse 色々な作例がありますし、里で作ったものも登録しています。

3D設計を行い3Dデータを作ります。

123Design (PC環境 MacOS/Windows/Linux)
Fusion360 (Cloud環境)

3Dデータから3Dプリンターの出力に必要なデータに変換します。
(印刷精度やフィラメント種類やプリンター速度やそのほかのパラメータなど)

組み込みの里では、Mattercontrolというソフトを利用して、それぞれのプリンターに応じた形のデータに変換しています。この処理で物理的にかかる時間や必要なフィラメントの量などを知ることができます。

 

 

[Solved] QIDITECH Avatar IV 3Dプリンター HomeOffsetパラメータ調整

image位置調整の目的で、サークル校正用出力データをプリントしてプラットホーム周囲からの距離を計測しています。

このズレをHome Offsetパラメータ(Sailfish Firmware)設定に反映すればよいという理解でトライしています。

ほぼ現在の位置でも入っていると思われますが印刷開始時点でヘッドが左に振った際に大分当たっていることからも、この結果は正しく、まだズレているという認識です。現在のOffset値はsailfish firmwareのサイトから持ってきた値です。

X home offset 152
Y home offset 75

当たらなくなるほどの位置にしたところ、センターの位置も適切な位置に近づいたようです。

image次回の報告で最終パラメータ(Sailfish Firmware)をお伝えできそうですね。
当たらなくなりました。X Home offsetもY Home offsetも結果に基づいて追い込みができるようになりました。

このデータに基づいて調整したところ

ほぼセンターの位置だしはできたと思われます。

image結果は、次の通りです。

0.5mmをX-home offsetにかけて写真のようなFirmwareパラメータにしました。

 

 

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