業界独り言 VOL184 ソフトでの差別化 米国

旧い話を持ち出して、今更ながらのYacc/Lexといったコンパイラ構築の為のツールによりアプリケーションの書き方を改善しようというのは長らく染み付いた日本の組み込みソフト開発力強化の流の残骸の収容でもある。携帯やNAVIに限って言えば、既に組み込みという域を外れているのであるのだが、経営者も昔の技術者であった技術トップも認識できていないようだ。システム設計の感覚を忘れて個別機能の実現のみに腐心して開発してきたものを、合わないフレームワークであるITRONの世界に当てはめようとしているところに問題がある。このことをハードウェア的に解決しようといういかにも日本的な取り組みがDualChip化の動きである。

そうしたデュアルチップ化で問題が解決するのかといえば、問題の本質は違うところにあるようで実際には解決策にもならなかったりする。問題はRTOSのフレームワークにあるようなのだ。こうした問題を解決するフレームワークを目指して開発されてきた携帯向けのOSもあるし、ある意味でいえばWindowsCEもそうした範疇だとマイクロソフトは宣言するだろう、過去のXenixベースのカーネルを保有してきたという歴史から見ても彼らは真剣に目指しているのかも知れない。マッチするのかどうかは別だが・・・。実際問題知己の開発している次世代NAVIなどはWindowsCEを駆使しているようだ。過去から議論の多くにプラットホーム化が達成すると撤退してしまうという図式がある。差別化が出来ないからだという。自社としてそのプラットホームの上で工夫して使いきろうという気概は恐らくないのだろう。

製品での特徴としての差別化といえぱ、ハードウェアとしての自社IPを敢えて使うように推進することで、自社IPを必要条件に組み入れようとしたりすることであったりする。確かにプラットホームがオブジェクトで提供される限りにおいて、されらをトリッキーに拡張したりすることよりも安全策ともいえるのかも知れない。赤外線IrDAの開発の歴史は携帯端末などとの接続が目的であり提供されるハード性能や期待するアプリケーションに根ざして多彩な開発が行われてきたのだが離陸する直前にトンビにさらわれたようなBlueToothの出現などがあり叶わなかったりもしてきた。ある意味で枯れた技術を再登場させて暗くなった携帯業界の一筋の光明として利用しようということが国内では始まったようだ。

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業界独り言 VOL183 1xとUMTSの鬩ぎ合い 米国

国内の先発WCDMAキャリアの不振が濃厚になってきた。景気浮揚策としてあるいは、消費高揚刺激策としての位置付けにWCDMAは使えないのだろうか。漸くカバーエリアも広がりを見せてきたし、第二世代であるPDCとの共用など運用面でも実用的になってきたと思えるのにだ。期待の仲間と信じてきた欧州キャリアとの温度差は開くばかりだ。先日、北欧メーカーが続けてUMTS/GSM端末を発表してようやく始まるかの様相を呈してきたのだが内実はどんなものなのか。

あるメーカーの端末は一気にスタンバイ時間を350時間と発表したり結構いいかげんな状況が見えてくる。この数値をまともに捉えて気が滅入るような技術者であるならば、顔を洗って出直してくるのも良いかも知れない。そして、またこの数値を信じて国内に適用しようというキャリアがいるのならば、その方も同類かもしれない。こうしたペーパーマシンの云うことを信じて中々、開発適用に踏み出せないメーカーなどには幻惑のカタログスペックに映るようだ。CDMA端末が増えて景気浮揚になればウェルカムではあるのだが。

欧州キャリアの元気の無さは、元を辿れば機器開発メーカーの規格実現までの誤算により陥ったといえよう。無論元気が無いのは、3G免許を取得してしまったいわば紙くず同然になった権利を行使して赤字経営をしなければならないのかどうかという点に帰着しているようだ。ようやく作れる状況になってきた規格に基づいて相互接続性テストが本格化してきたというのが実情なのだが、世の中の期待は飽和してしまい、一気に詰まってしまったようだ。バブリーな世界平和に帰着している経営バランスが同時多発テロで一気に露呈してしまったからかも知れない。

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業界独り言 VOL182 仲間との意識共有 発行2002/9/29 米国

何をしに三週間も出張に来ているのかと言えば、幾つかの複合的な理由がある。本来ならば個別に往復するところなのだが、航空券の費用も身体への負担も高くつくので途中の一週間は通常の作業を米国で行うことになったのである。お客様と協同の作業が先週の一大イベントであった。デザインレビューの実施なのである。キーカスタマーへの注力は着実な展開を図って、米国技術者のリソースを最大限に活用してもらうという意味においても訪米してもらうのがベストなのである。枯れた商品であれば、そこまでする必要も無いのだが新分野の商品技術を適用していく上では慎重を期するのである。こうした携帯電話業界にあってビジネスクラスで五名の技術者を送り込んで来られたメーカーの意気込みもうかがえる。

広範にわたる携帯電話技術において、提供する技術範囲も広がりを見せてきていて三年前にジョイントしたときには手薄に感じられていたアプリケーション開発にも専任部署が生まれていて、チップ開発部門と共同で分担するようになってきた。しかしながら、チップ部門で彼らのミドルウェアを提供する上での理解については実際にアプリケーションを開発していないメンバーにとっては理解や意識を共有することは難しいように見受けられる。実際のお客様の開発支援作業をしているとお客様からの素直な質問の投げかけが、互いの責任分担をクロスオーバーすることが発生した場合も含めて提供している技術については相互理解を進めておくことは肝要である。

クロスオーバーしている範囲の仕事を進めていく上での壁は、仲間に対して「なぜ、その活動が必要なのかを言明しておく」という事さえしておけば、オープンドアな文化であるので事業部が異なっていても問題はない。互いの意見交換をしていく上では、ホワイトペーパーの交換ならびにミーティングが必要であると思う。今回は、お客様支援の週の後半に当該事業部の仲間も米国に来ていることもあって予めマネージメントを通じて意見具申をしておいてミーティングを取りつけておいた。チップ開発という立場でプロトコル開発に注力しているQuad社ではあるが、アプリケーション開発というスタンスでの理解については部品事業部ではもう一息という感がある。

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業界独り言 VOL181 携帯電話開発の行方 発行2002/9/28 米国

この間の三連休ではあるが、例によって米国への移動で休日を浪費していた。細君にしてみれば、身勝手な会社だと映っているのかもしれない。亭主元気で留守がいいという向きにあっては良い会社に見えるのかもしれないが。Quad社に転職してから三年たち、四年目に突入した。国内のアプリケーション事情との整合については支援を通じて、片鱗が見えてきた。詰まるところ各社共に行き詰まっているのが実情なのである。といってQuad社が提示したような アプリケーションプロセッサという概念によるものまでは受け入れたくないという我が儘な状況でもある。携帯から一足飛びにPDAといったような物に変わるのは時期尚早という判断でもあったのだろう。

日本の三連休は、ハッピーマンデー法案の成果でもある。秋分の日は丁度月曜に当たっていたわけだが・・・。西海岸の会社との関係でいえば、月曜日が休みというのは実質的にも、時差の関係もあり本社が日曜日の時に休めるので丁度よいわけだ。月曜日に移動して月曜日に到着するので、毎週の定例電話会議には米国からの参加が出来る。端末開発に向けたプラットホーム提供という意味においては、国内各社にも同時に供給して適時に製品が出せることから、ある程度はビジネスモデルとしても成功しているといえる。幾つかの特異例が課題としてはあるのだが・・・。

国内のメーカーは、携帯電話の回収騒動を経て、ソフトウェアの試験による品質確保に重点を置くようになっている。あるメーカーの弁を借りれば、「チップと最終ソフトが提供されてから半年かかります」というのだが、多くのメーカーが同時進行で開発を進めている中では、機種リリースが一巡してからの機種提供になってしまう。それでも独立独歩でだしていく姿は明快で潔い。自分たちのペースであるからと承知の上での開発なのである。こうした現場の状況と、そのメーカーの技術トップあるいは経営トップからの意見は必ずしも一致はしていないらしい。皆、積み上げたソフトウェアシステムが安定に稼働させるための技術については待望しているのであり、現状の中ではテストで品質を確認してからの出荷という形態しかとれないという判断なのだ。

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業界独り言 VOL180 技術者の楽しさ

日曜の朝、朝刊を取り込むと昨日取り忘れていた日経エレが入っていた。最近の話題は、携帯電話の低迷は既成事実となっていて記事にもならないようだ。そこへ今の旬の話題はJPEGの圧縮技術の特許の話である。国内の技術屋の意識向上を狙ってかプロジェクトXのような取り組みがうまくいった事例の回想話となっている。今苦しいという状況の中で奮起するような材料になるのかどうかという点については私には疑問に思える。歴史を紐解くという観点で当時の状況や背景を一面的に捉えてしまう危険性について編集では気にしてほしいものだと思う。景気のよいガツンとした記事を期待する向きが、編集指針にあるのかも知れないのだが。

携帯電話の開発状況がどのようなものなのかは、求人広告を見れば一目瞭然となっている。ここまで急速に冷え込んだのは何故なのだろうか。チップビジネスを展開している立場からみると国内の異様とも思える冷え込みぶりと自分達のチップの状況との間に相関性が取れないので、おそらく米国本社ではこうした雰囲気を感じ取ってはいないのだろうと思う。もとより日本市場の小ささは、CDMA本家から見た場合には蚊帳の外でもあった。PDCという特殊状況の封建制に守られた国民性もあったかと思う。まあGSMなどにしても、自国有利に導くための方策であったとみれば同じような状況にあるだろう。

今一番元気なのは、セットメーカーではなくて部品メーカーなのかも知れない。携帯電話の開発に従事していた知己は、無線システム開発能力を買われて高周波半導体開発の中心に移籍したようだ。ユーザーは今までの自分達の同僚であったり、また他社の携帯電話メーカーであったりするようだ。部品メーカーにとってはセットメーカーの経験が薄いために、ユーザーが感じ取る悩みなどに対する技術的な助言などが出来にくいという事情がある。そうした中で彼のように中心となって携帯電話を纏め上げてきた高周波技術者というスキルマップは有効活用されているようだ。大きな会社グループとして、部品事業や携帯電話までをカバーしている場合には殆ど転職というような状況にも関わらず「異動ですか」の一言で片付けられてしまう。

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業界独り言 VOL179 有望な?履歴書

携帯業界の元気の無さとは裏腹に、今Quad社では求人活動がホットなのである。といっても求人雑誌に大々的に打ち出すといったものではない。というのも昨年一度やってみたりした成果からもアプリケーションエンジニアという呼び方で私達の仕事を括るのがどうも難しいらしいということ。また、必要なスキルというものが中々満たせないものであるらしいこと。そうしたモノを満たす人は、日本的な風土の会社に結構染まっていて転職しようなどと考えないという事などが判っているからでもある。

といいつつも、この三年余りの間にソフトウェアのアプリケーションエンジニアの規模は7dbも向上しているし、ハードウェアのアプリケーションエンジニアも6db向上しているのである。我々のビジネスモデルというものに照らしたバランスを取りつつの拡大ということがひとつの足かせでもあるし、先に述べたような日本の技術者の保守性などが理由にあげられることだろう。私も以前の会社での自分を振り返ったり当時の周囲の状況などを思い返すことで納得したり吹っ切れたりしているのも事実ではあります。

CDMAの技術によるチップソフトの開発提供と方式ライセンスで、食べているQuad社というものの実像は実はあまり書籍にもなっていないのが実情でライセンシーの方々が特許開示やら技術契約に基づいてチップやソフトのサポートを通じてしか知りえていないというのが現状かと思います。私達の会社での常識とは、ソフトウェアの技術者であれば、C/RTOSの知識を保有しているという前提に立ち、携帯電話を構成する通信方式のプロトコルあるいは無線制御、デバイス制御、音声音源制御といったことなどの何か要素技術を核としてひとつ以上保有して英語圏の会社としての開発活動をフラットなオープン組織で進めているというものです。

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業界独り言 VOL178 Who Moved My Jobs ?

あの携帯の溢れるニーズを支えていたのは、アプリケーションだったのか、端末性能だったのか。高性能な端末に高機能なアプリケーションを搭載して買い替え需要を満たしつつ新規顧客を確保していくという戦略を駆使してきたはずなのだが。高性能な3G端末に高機能なテレビ電話というアプリケーションや高速な通信速度という端末性能を果たしてきたのだが、気が付くとユーザーニーズとは乖離していたようだ。ニーズはどこかへ消えたのだろうか、それとも元々無かったのだろうか。携帯電話ビジネスを支えているのは利用者の納める通信費用なのであり、それを支払うユーザー達を取り巻く環境自体は不況の中で支出は縮こまっている。

新しい楽しいアプリケーションを創造してみたところでユーザーが支払う支出額が増加してしまうような流れでは、使い方自体が伸びるはずはないのである。端末ユーザー数で圧倒的優位に立つことの不利益は、周波数問題などからくる新規ユーザー収容力の低下である。トップキャリアが選んだ策は二つであり、一つはデュアルバンド化により1.5Gという周波数に対応すること。二つ目は今後の世界の展開として認識していたIMT2000対応である。残念ながらブランドイメージの確立などを狙って世界最先端ではじめたIMT2000への対応は規格の未整備などから見切り発車の独自規格となってしまった。誰かがいみじくも言っていたが最先端とはパッチだらけな状態であると・・・。

「正しいものは、必ず勝つ」と戦略も無いままに過ごしているプロジェクトも在るようだが、無謀な要求に映るこうした3GPPの技術論を「正しいと信じて遵奉する技術者」と「確信犯ではあるが戦略として推進する人たち」とに分かれて推進が為されてきた。無論IMT2000の規格として提案してきた自社方式に近づけるという戦略や、CDMAの基本特許を回避するといった戦略もあったからだ。仲間と信じてきた北欧メーカーとの第三号選択を採択したCDMAのオリジネーターの方策に対する戦略の中で、政治的な戦略として日本からの排除を国を挙げて行おうといった取り組みすらあったようだ。「正しいと確信した上で戦略として推進する」方策の結果、事なかれ主義の日本での政治的決着は崩壊し国内にも3G-1Xはローンチした。そして今、冷静に見ても形勢を誰もが正しく認識するような状況になった。

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業界独り言 VOL177 遺産の相続か決別か

携帯電話のような大規模な組み込みシステムになった場合の開発の複雑さはシステム試験の難しさなどからなのか、一度作ってしまった過去の資産あるいは遺産を相続せざるを得ないという判断が通常の通信機メーカーには渦巻いている。「変えれるものならばスパッと変えたいですよ」とは知人の弁である。通信キャリア仕様などにべったりと漬かった製品開発からの決別は、まったく異なった国向けの開発チャンス位しかないといえる。「そんなチャンスがあれば、是非にも活かしたい」と目を輝かせる若者達もいるのだが製品開発の舵取りをする世代にはそうした元気がなくなっているようだ。

プラットホーム開発を進めながらも、最後のところで行詰っている様には何か変えられない壁があるようにも映る。新たなバイナリー開発環境を提示しつつ、フル活用した実装が出てくる段階で足かせになっているのは既存の組み込みアプリケーションパッケージであったりする。抽象化の進んだ実装仕様などの不評もあるのだが、意外に重いアプリケーションの全貌にはシェアや実績などとは裏腹の面が伺えるようだ。逆にキャリアから不評を買っているソース未公開のアプリケーションの実装性能などは、逆に流石といえる性能を出していたりもする。世の中の評判と実際の評価のギャップは内容や性能などを見ない体質に根ざしてしまい政治的な判断のみで動いている現実に隠されてきたようだ。

組み込みアプリケーションの多くは、ITRONベースの実装に基づいた開発が国内での主流となっている。これは坂村先生の成果でもあり、アプリケーションの雛型としてRTOSベースのタスクとして設計することで今までのギリギリの開発が実現されてきたようだ。しかし、そうした実装に支えられているにもかかわらず何故大規模なシステムとして携帯電話の開発が複雑怪奇になってしまうのかについては言及がないように見える。RTOSベースのITRONなどの標準的なスタイルでメーラーもブラウザも開発されているはずだ。日曜プログラマーのWindowsプログラムとの差異はどこにあるというのだろうか。実は、標準と捉えているRTOSベースの設計に問題点があるのではないかという疑念が湧いているのだが。

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業界独り言 VOL176 ドコモが誰かに買われる日

無論そんな日がやってくるとは、現時点では思えない。第三世代の失敗以外は、特に悪い材料はないのだろうか。失敗を隠して、第四世代に向かって行くのだろうか。ドコモを支えているユーザーは残念ながら国内のみである。従って国内ユーザー枠という観点からみた場合には、現状からみて溢れたユーザーの範囲を収容していくには、ドコモは周波数を拡大するしかない。首都圏などでのシティホンバンドと従来の800MHZ共用機でi-MODE需要に応えていく以外に路は無いのです。i-MODEを支えているゲートウェイの処理能力などが限界に到達してきてi-MODEユーザー自身がドコモからのインターネット接続能力に疑問を抱かせる事態に気づき始めてきたのも事実であり、ソリューションビジネスなどの観点からも日の丸電気が商機と見ているのかもしれない。

国策として映るほど、世界最先端として進めてきた第三世代の元々の理由である周波数資源逼迫という事態に直面しているのは残念ながらドコモだけなので他社の動向との比較などをしても意味が無いことは周知の事実でもある。人気の無い狭い首都圏向けサービスとして始まった1.5Gを利用した周波数拡張を更に拡大すると発表したのである。これは国が出来るドコモ支援策の第一弾といえるだろう。ちなみに犠牲になるのは、まずはタクシー無線用の周波数帯である。景気の失速でタクシー業界でも無線利用が減っていることや。やり手のタクシー運転手自身が自衛策として携帯によるお得意先を確保しようとしている事実もある。無線利用の大口顧客がへり、活気のある一部のベンチャーなどの人たちなどが従来の大口契約といった昔のスタイルに馴染まなくなってきたこともあるだろう。

国内でしか存在しないPDC方式からの決別は、auにより漸く為されただけで、1.5Gのみで運用してきたデジタルホンなどとの合併などもしなければドコモブランドの維持が出来なくなってしまうのではないだろうか。全国に設置しつつあるFOMA対応基地局の収支などを経営の見地から見ればドコモ自身がJ-PHONEに売却してしまうというオプションすらも出てくるだろう。FOMAという現時点の限られた数のユーザーのみで評価されるのはドコモの本意ではない決して無い。技術的な優位性の一端である、非同期故の超小型基地局・バッテリーライフの改善などと打ち出してきた第二陣のメーカー群が、実はFOMA最先端なのかも知れない。現在の負のスパイラル状態にあるドコモの第三世代を解決するのは第一陣のメーカーからの離脱なのかしらとさえ外部からは見えてくる。

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業界独り言 VOL175 ソースコードを読もう

通信機メーカーの知人と会食をして情報交換などをしていたのだが、気になる発言などがあった。どうも最近の開発現場ではソフトウェア技術者というものは殆どいないらしくて、ソフトウェア担当という言い方をするらしい。知人達とは開発プラットホームの改善などについて熱く語っていたのだが、どうも矛先を向けてみても中々着地点が見えない理由の一つはそこにありそうな雰囲気がある。分業が進みすぎた弊害なのかだろうか。携帯開発を担当している頂点に位置している通信機メーカーの技術者達が行っていることとはソフトウェアの構造やコードなどについて将来像も含めて考えていくことではないのだろうか。

トップの問題点認識は、熱海の古い増築を重ねた温泉旅館のようなソフトウェア構造を見直すべく、開発組織の見直しをして技術研究部隊と製品開発部隊を統合して製品に密着した実りのある新たな開発プラットホームを興すことを目指しているようだ。PC部隊などとの融合は、大手の通信機メーカーは皆、やっていることなのだがその成果はまちまちであるようだ。闇雲に通信キャリアの提示する製品開発するメーカーもあれば、自律した方針で開発を進めているメーカーもある。エンドユーザーのニーズや動向を把握しつつ限られた条件のなかで挑む人たちのほうが成果が出てきているように映る。自分達の現在の開発プロセスを肯定して、そこからの発想や行動に甘えてしまっている人たちの成果にはエンドユーザーは結局ついて来ないようだ。

オブジェクト指向のソフトウェア開発を追及してシステム開発において効果を出してきた知人のH君は、プラットホーム開発という大きなテーマを会社から預かったようなのだが開発してきたプラットホームのAPI仕様を開発利用する立場として読んでいるソフトウェア担当は殆どいないようなのだ。彼の会社では携帯開発に向けてソフトウェア技術者を結集して各地に分散していたメンバーを一元化して新しいビルに集合を掛けるという最近のいくつかの大会社のスタイルに則って進められているのだが・・・。プラットホーム開発で手がけている部隊と製品開発を手がけている部隊が集まってみても打ち合わせが増えただけで明確なマイグレーションの計画は進まないようなのだ。

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