二つの異なる業種のメーカーがデジカメという業界で出会い、レンズの開発の分担と高密度設計生産の分担というコラボレーションを成し遂げて異なる魅力的な商品開発を成し遂げているという事例が出てきた。携帯電話という商品もいまやカメラ付きでなければ売れないという状況にあるらしく玩具のデジカメ程度の解像度からメガピクセルに移行しようとしているようだ。デジカメのメーカーの中には、携帯電話の開発生産をしているメーカーも多いのだが、最近はデジカメ業界自体も淘汰されてきたようで猫も杓子もという状態ではないようだ。電卓のような状況は過ぎ去ったようだ。デジカメをはじめて世の中に送り出したというメーカーも電卓の雄であった。次の携帯のコンセプトは、デジカメと携帯の融合なんですとかつて語っていたのを思い出す。そんな会社がレンズメーカーとのコラボを成し遂げたのはうれしい限りでもあった。
さて携帯電話での状況を見てみると、そんなコラボという姿には中々到達しないギクシャクとした状況が続いている。たとえば3G端末の開発の難しさに加えてさらに政治的な難しさを追加してしまう状況が、日本仕様と世界仕様の共用モデルには存在する。国際仕様として次々と出てくるCRの追求と過去のスペックでの動作との共存という範囲で動かしていく国内での実用システムの稼動という条件がその状況の一つである。開発費用の負担という奨学金のような助成制度が通信キャリアからメーカーに向けて出ている状況もそうした難しさを顕しているといえる。ビジネスモデルとして成立していくのかどうかはユーザー次第ともいえるしメーカー次第ともいえる。開発費用の分担で端末開発費用に占めるソフトウェア費用が下がるという効果を期待しているのであれば、それは幾ばくかの効果があるのだろう。開発整備された共用コラボレーションというビジネスモデルは、中々携帯ではうまくいかないように見える。
携帯電話の開発をしているメーカー間の差が見えてきてもいるようだ。あれほど人員投入を繰り返してきたメーカーが、社内から赤紙召集してきたエンジニアをリリースし始めているようだ。先端分野への異動は、個人の希望と企業方針での赤紙召集の二つがあるようで、赤紙召集と中途採用とを繰り返して飲み込んできた人材を使いきれないという状況ではないと思うのだが開発テーマの絞込みといった状況が思い浮かぶのである。悪く言えば人あまりとなっているのかも知れない。人材派遣業界としての側面も大きいソフトハウスなどにおいてもプロジェクト失注といったことになり、こうした情報を買い叩き材料にして人をまだ集めようとしている会社に吸い込まれたりもしているらしい。携帯電話開発のバブルは確かに弾け始めているらしい。