業界独り言 VOL04 2000年突入

イリジウムのおかげです。メーカーからみると悪魔の囁きのようだったイリジウム電話である。ニーズは確かにあるのだがメーカーの皮算用から見れば無いのに等しいのかもしれない。無いのに等しいようなユーザーに身内がいた。実兄は、昆虫標本商を営んでいるのだ。東南アジア地区でのPHSの基地局が蟻に襲撃占拠されるなどの事件ではお世話になったが、その後、例によって音沙汰がなかった。

正月の実家訪問で数年振りに、その実兄と会った。最近標本商以外に新たな商売をはじめたそうである。生きている昆虫、とくに甲虫類の斡旋ができるように法律が改正されたそうでこの商売を始めているようだ。南米の奥地から、モンゴル高地や東南アジアの島々に派遣している採集人とよばれる人々との連絡にはイリジウム電話が有効であるようだ。

DIMEに出てきそうなどこかの冒険先生みたいな輩が身内にいたとは灯台もとくらしという奴である。さて、くだんのイリジウムがモンゴルにあると何が起こるのか、・・・・・。実は、用も無いのに電話をかけてくるのである。「新種の蝶がつかまった」というような嬉しい電話ならともかく、「今日は収穫が無かった」という電話が入ってくるようになった。

電話の無い世界に突如出現した電話(イリジウム)のありがたみと我々の間に大きなギャップがある。であれば、実兄はいつもイリジウムを持ち歩いているかというそんなことはない。大きくて実用に供しないというのが彼の説だ。彼の欲しい携帯電話は飛行機が到着すると空港に車で来て欲しいという連絡がどこの国でも出来るGSM携帯電話だそうだ。

当然、カードでかけるタイプでないと困るのでGSMでのSIMやインフラ側でサービスするタイプのプリペイド度数サービスなどであることが必須だという。採集人が勝手にかけてしまったりするからだろう。ベンチャー生活30年の身近な先輩はここにいた。モバイルな暮らしで2002年のサッカーに向けて日韓で共通に利用できる携帯電話がようやく開発されそうだと説明したのだが・・・。

「それだけじゃ使い物にならない。いつも買う携帯はノキアとかモトローラってやつでカードの奴だけど何で日本で使えないの・・・」第三世代の携帯電話は、こうした需要を満たすはずだった。需要を満たすために始まった開発が変調されているようにしか説明のしようがない。GSMとCDMAの共用モデルを開発するという方策が現実的になってきたような昨今ますます実兄に業界事情を説明しづらくなってきたようだ。

最後に実兄から一言「使えるような電話が出来たら教えてね」道は険しい。

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