VOL55 横一線の不公平 発行2000/11/08

昨年から付き合いの始まった、あるメーカーの購買担当の方が転職された。行き先はチップデザインを使命としているベンチャーである。業界の狭さは今に始まったことではない。ビジネスモデルとしてより良いものを求めて会社が興り、人は自己実現の場として移っていく。

ますます業界の輪が広がり、相互研鑚あるいは血まみれのバトルを行う戦場になるのか。製品展開の速度は、ITウィルスに冒されたらしくエンドユーザーの意識やニーズを超えて噂の真相を語る閑も無く噂から確信に変わっていき事実や標準になっていく。

開発速度の改善に必要な技術は、モジュール化や共有化であるがCDMAほどの大規模なシステムになってくるとひとつの会社で抑えられる範囲を越えてしまっている。そうした業界に根ざして活動しているのがチップデザインとソフトウェアを提供する弊社のようなベンチャーなのである。

そうした弊社もモデムエンジンとしてロックウェルのような道を選択していくでもなく・・・CDMAハンドセットあるいはCDMA組み込み端末開発のレファレンスデザインの範疇としてアプリケーションの領域まで手を伸ばそうとしている。こうした取り組みは今までのメーカーでの研究所のような仕事でもある。

サービスでの競争という観点でいえばキャリア絡みの項目になり横一線となり。幾つかの有望な技術を保有するサードパーティの開発リソースがショートすることに陥る。これにともない製品リリースが遅れることになるのだが、これは不公平な感じだ。

解決していくためには、我々とサードパーティが組めばよいのだろう。しかし、CDMA技術とソフトウェア技術の接点で権利や契約が横行して足枷になる。ライセンスを取得したユーザー以外のサードパーティとジョイントしていくことを業界が要求している。

遊びの余地のあるような仕事は、レファレンス開発の提供と将来展望を夢想して推進していく我々のような場所にしかなくなろうとしているのだろうか。先進の技術の舞台裏では、リソースはあるが泥臭い仕事と楽しいがリソース不足となっている仕事にカラーリングされているようだ。

さあ、意識ある技術者を募るラウンドが始まる。来月は、ボーナスが出る季節だ。ウェットな感覚を持つ日本の技術者にドライな転身を求めるにしてもこの時期は相互のタイミングがシンクロする時期である。21世紀をどうやって過ごしたいのか考えている技術者がいるはずだ。

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