同窓の仲間から電子メールが届いた。賀状に書いておいたEmailのアドレスがあったからだ。聞けば、御母堂がなくなった由で欠礼するということだった。卒業してから25年経ちつつも届いた文面からは、声が聞こえてくるような気がしたのも不思議な気持ちであった。見知らぬ人との電子メールではないからかも知れない。但し、浮かんでくる顔は若者時代の顔でしかない。久しくあっていない。
最終担任の先生が、何かの賞を国から授かったそうで、そのお祝いも兼ねて同窓会をしようというのが今年は実現しそうだ。こうした連絡が電子メールで盛んに行われることになりそうだ。道具で永らく使ってきたUNIXは、いつしかネットワークや電子メールといったインフラ構築の道具になってしまった。私の手に馴染んだシェルコマンドは最近ではIT技術と呼ばれるようになった。
QUAD社では、あふれるほどに様々なメーリングリストで開発や議論が進められている。初芝通信などでいえば、これが横串活動とかなんとか委員会といった類のものである。フラットでない組織で運営する限り議論は出来ても、実践段階に移せないという問題がNewsシステムなどを雑談所などと呼ばれてしまう風潮がある。良い議論があれば仕事や組織が起きて展開していくあるいはそのまま疑問を確認に日本で試験をして測ってみようなどということはよく起こる。
元気の良い社内メーリングリストで活動している特殊チームが通信キャリアに活を入れにきた。グループ連絡はMLで行う。異なった事業部のスペシャリスト達だ。日本側の窓口はケイ佐藤である。現在のオペレーションで行われている性能検証が、特に基地局側機器での性能について幾つかの疑問が生じていて性能を阻害している原因探求にきたのである。これから何度か訪日しつつ性能測定を行い改善を図っていくらしい。
巻き込まれがたで急遽このチームの支援に入った。移動局を改造していくつかのメッセージ出力を行いログを取り込む必要があるようだった。昨年ちょっと手伝ったメーカーの移動局を改造することになり最新コードを所有していないので修正対象のファイルのみを作成して田園都市線で横浜郊外まで書き込みをお願いにいった。週末でもあったが土曜日に帰国するまでに測定をしたいということで翌土曜日も出社して手伝った。ログで有用なデータが取れてPPPの性能阻害をしている基地局側装置のバグが明らかになった。
バグを指摘しても凋落著しい海外通信機器メーカー製の基地局改版には多大なコストと期間を要するのは長年の初芝通信での付き合いから見ても明白だった。彼らは、予算で割り付けられている間しか仕事をしないのである。そういった眼で海外メーカーを見ていたのだがQUAD社を見ているとそんな風は微塵も無い。多大なパテント費用で運営しているからと陰口を叩かれるかもしれないのだがそうした費用で開発してきた技術が確実に展開されていることを確認することに手間を惜しまない気風がある。彼らを突き動かしているのは自分達の技術の自負・プライドであろう。
一度話をしたり食事をしたりするなかで知己になったメンバーからの電子メールからはやはり声や顔が浮かんでくるものである。たとえそれが英語であったとしてもだ。