VOL80 CMMレベル4は性能もコストも改善 発行2001/2/9

ソフトウェア開発プロセス改善が携帯業界で吹き荒れそうだ。開発プロセスを見直していくということが1番忙しい業界になぜ適用が進もうとしているのだろうか。ソフト開発プロセスの改善を推進していくというテーマを提示されつつ、こうした動きとかけ離れていったことを思い返してみると、やはりそこには必然があったのだと今更ながらに感じる。開発プロセスがうまく動作している会社も、定義だけは成されていても実態がない会社も知っている。

開発プロセスレベル4の達成が出来た会社がある。そして製品の品質もそこには明らかにスペックからも見て取れるほどの差が顕在化している。自分達のプロセス自身の再定義なども含めて実現できるためにはトップ判断も含めて会社としてのコミュニケーションの素速さや情報共有が出来る必要がある。硬直化した組織では、組織も含めたプロセス再定義などが出来ないからでもある。こうしたことまでの達成イメージの共有を経営トップとの間で最初に共有しなければならないのだろう。

一度動き始めた開発テーマ自身も、成り行きに沿って書換えるぐらいのことも必要なのかもしれない。こうしたことは政治家の世界を見ても一度決断したものを止めることなどは出来ないのは人間の性なのかも知れない。実際には、続けるべきテーマでありながらも会社としての利益率確保などから期末近くには予算削減が周期的に起こることなどは既に組織としての革新時期の到来を告げているのかもしれない。

最終ユーザーが見えないなかで開発されたと思しき製品も見受けられるようになった。テーマ設定・レビューといったフィードバックあるいはフィードフォワードなどをうまく機能させる為にもCMMでいうところの軽快なプロセスの稼動は必要なのである。一度決めたプロセス定義に縛られる必要は無いのである。一年100万台の企画商品と10年で1万台の企画商品とを同一のプロセスに分類していくことが出来るはずも無いのである。しかしだからといって起こった技術成果の共有が出来るようにしなければ、無尽蔵とも思われる飽くなき開発リソースの要求を止めることすら出来ない。

人数が徒に増えれば、バベルの塔の例をみてもうまくいくことは絶対にない。開発費用も増大したうえで品質は落ちるだけである。同一の開発リソースの投入にもかかわらず出来上がる成果に大きな開きが出来てしまうのはソフトウェア開発プロセスへの理解をしたうえでの投資をするかしないのかに大きく関わっていると言われてきた。そして実際にそうした実績が見えてきてしまった。明らかな差が白日のもとに曝されることになってしまった。

ただ忙しいだけと思われてきた手をつけてはいけないという言われてきた携帯業界での開発生産活動について、ドル箱の開発生産活動こそIT投資を行いプロセス改善と情報共有が出来るようにすべきなのだ。ドル箱と思われた事業が突然首位を追い落とされる事態などが、品質や開発活動のプロセスあるいはビジネスモデルも含めて見直しを迫られるというのが21世紀に入って明確になってきたようだ。

これからでも遅くは無いのだから、早くに気づいて是正を行うべきである。ブランドを壊してしまったあとでは遅すぎるのだ。開発プロセスを容易に切り替えてしまうということは実は撤退も鮮やかな会社なのかも知れないが、実際には開発した技術をそうしたことで失ったりしない点が異なるのである。そうした点で捉えてみると事業部制ということが時代からも当て嵌まらなくなってしまったのだろう。

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