いよいよ、新周波数帯の提供が始まり新たな国内キャリアの登場とつながるストーリーが始まった。もとよりMNPが解禁となる事態を控えている状況も含めて、各通信キャリアを取り巻く状況は、思っている以上に厳しく、また斬新に変化を遂げようとしているようだ。通信ベンチャーが端末作りに登場することもあるだろうし、端末メーカー自身も特定の通信キャリアにのみ操を捧げる妾商売のような体制を安穏と続けられる状況などは描けない様子である。いまや誰でも3GPP端末の開発を手がける状況になってきているともいえるのである。通信プラットホームを提供しているチップセットベンダーの成果が徐々に実りの時代を迎えつつあるという状況に推移してきているからでもある。中国や台湾勢のデザインハウスが通信プラットホームベンダーの環境を用いて、国内の新キャリアに向けて開発協力を見据えた活動が始まりつつあるようだ。こんな状況を想定してかローエンド3GPP携帯を二年前から着手してきた端末メーカーもある。
とはいえ二年前に作ったコンセプトが、今日に通用するのかという最近登場した、その端末のできばえからも古臭さを感じさせるような点はない。国内キャリアに打って出るといいったコンセプトに向けて同時期に投入された他のメーカーの実装からも戦略の差異やアプローチの差が窺えもする。国内の開発競争に投入して残り少ないリソースのアサインを悩むよりは、プラットホームも替えて設計も替えてという博打とも取れるような決断をされた背景にこそ深い悩みがあったのだろう。当然、そうした博打の結果が出るまでの過程で起こる様々な出来事をいかにして解決して対応してきたかというのは、現在では相当価値あるその会社のノウハウでもある。また、その会社の決断によりビジネスモデルに弾みがつき技術力を高めた中国の設計会社では2Gのみならず3GPPにも対応が出来るということで週単位で担当営業マンが往復するような状況にもなったと聞く。開発費用の捻出に走ることよりも、市場の見極めと徹底したコンセプトを新たな枠組みで挑戦して結果としての開発費用をも抑えることに成功しそうな勢いでもある。
誰もが3GPP端末を開発出来るような状況自体は、Quad社のような相互接続性テストに精力的にリソースを傾けつつ整備をしてくるようなチップベンダーの取り組みで解決出来るものでもある。しかしながら、国内キャリアなどの高機能化してなおかつ日々進化していくような端末仕様に合致するスペックの商品を開発していくのは大変なことでもあり、この辺りこそが国内メーカーの生きる道とも言われているのでもある。ハイエンド端末の仕様に対応していく流れから離れてオリジナリティのある端末仕様を逆に提案していくような動きが出てきたことは成熟してきたことの現れともいえるのたろう。通信業界のリストラクチャリングの流れで、新興キャリアでは端末メーカーに対してキャリアとしての端末仕様を特に提示するスタンスを取らないところまでも出てきている。開発資金の提供までして、整備されたプラットホームのご利益を期待する流れの成果も確かに出始めているのも事実らしい。プラットホーム開発した端末メーカー以上の出来栄えで応用製品開発に成功した別の端末メーカーなどが、その成果でもあるらしい。
もう端末メーカーとして生命線として確保しなければならないとこだわって来たチップセット自社開発などを含む無線プロトコル開発などを捨ててしまい身軽な状況で肩の荷を下ろした形で取り組んだ成果などが出ているケースもある。こだわりをもって取り組んでいたチームなどは、そのままチップ開発を生業としている部門に移籍したりしているとも聞く。通信キャリアとチップセットベンダーとの協業が双方向で始まりだしそうな状況などが見えてくると端末機器メーカーとしてのビジネス範囲についての見直しも出てきている。ODMメーカーやらデザインハウスが台頭してきた状況には、こうした携帯電話業界の事情が色濃く反映しているといえる。端末機器メーカーが蓄積してきた設計資産の採算性が問われてしまうほど、携帯電話機器開発の開発効率は国内での実現性を阻んでしまう状況になっている。だれでもが企画書を起こしてODMやデザインハウスを使って物づくりが出来るようにと期待されているのも事実だが、実際のキーとなる部分のボトルネックはキャリアのキーアプリ実装部隊だったりもする。
かつてのメーカーのリソース不足から、最近ではミドルウェアベンダーなどのキーアプリ実装部隊のリソース不足の声が多く聞かれるようになっている。それだけ分業が進んできたともいえるし、キャリア仕様などを提起している部門がそうしたベンダー自身であったりもするからだ。結局メーカーの端末企画としてのカラーを作りこみカスタマイズしていく部分などの繋ぎこみを実務として実践する工事現場の発注元が、かつての主体だったメーカーだということになっている。キーとなるアプリケーションを組み込んでいく為の枠組みであるプラットホームや、アプリケーション自身がプラットホーム化してプラットホーム非依存とした設計を謳っていることになっている。抽象化した層が増えることにより、本質としての動作や機能が不明確になり、カスタマイズしているだけで済むはずの部分で起こる問題が潰せないような状況も増えてきているようだ。誰でも作れる時代に向かっているのかも知れないけれど実際のところキーとなる技術を押さえていることは鍵となっている。こうした部分は経験の長いソフトウェアエンジニアが対応していけるドメインではあるものの、そうした職制がメーカー内部で評価されてはいないようだ。
結果として流出していくエンジニアたちは、自分たちが考える技術を暖められる場所あるいは、理解して評価される場所を求めて動き出しているようだ。メーカーに効率の良い開発スキームを提供していくということは経験あるエンジニアのスキルを効率よく回して複数のお客様に同時期に提供していくことに他ならないのである。複数のお客様を持ち合わせて、ビジネスを回していけるサイクルを回せる状況にならないと、このモデルは成功のサイクルを回せないということになる。回り始めれば・・・という期待で受注さえ出来れば、サポート費用という名目で実費費用をターゲットとしての被験者になったカスタマーから取り込むことが出来るというビジネスモデルの人たちもいる。Quad社でのビジネスモデルは世の中に言われているライセンスモデルにより成立しているわけではなく、あくまでもチップセット単位でのビジネスに依存しているものである。チップセット単位でのライセンス費用自身は、開発費用の分担とサポート費用に充当されるものの従量課金される性格のものではない。自身での開発効率を追及していくことが出来なければ達成できないモデルでもある。
最近になり、富に開発効率の追求の一環として各地域でのサポート体制を拡充しようという動きとなっている。知識ドメインとしてのQuad社の仕組みを高めていき、地域毎により技術力の高いエンジニアとして活躍できるように体制を強化するというものである。個人としての技術ドメインを確立した上で、携帯電話開発の技術ピラミッドをサポートしていく広い見識を持ちつつコミュニケーションのセンサーを広げた若い心を持つエンジニアを探している。端末のサポートに必要なトータルテストという観点でのテストエンジニアなどは、プロトコルの知識を理解していシステム動作からの解析を行えるシニアの技術が要求されるし、CDMA2000あるいはWCDMAで離陸しようとしているメーカー支援の中で泥臭くユーザー問題の解析をクラッシュダンプから行えるようなプロ技術者を求めたりもしている。最近ようやくUMTSの今後を担う若い活力あふれるエンジニアやリアルタイムシステムの経験を活かしたメディアプレイヤーなどのマルチメディア技術をサポートするエンジニアも迎えることが出来そうな状況に至った。自分たちのビジネスに共感してくれる仲間が見つかったのは説明が難しい嬉しさでもある。
年俸制の条件の中で自身の貢献部分と、会社期待に対応してキャッチアップして自身を磨き上げていく流れをうまくマッピングしていけるように早くなってほしいと思うし、また会社の組織風土のよさも理解してもらった上で活躍をしてもらいたいと思うものでもある。年俸制という枠組みできめられた収入であるはずなのに、会社業績に基づいて出たりする賞与などがあるとこれは期待していないだけにまたありがたいものでもある。新たな人たちを迎え入れることにより、Quad社として考えている新たなレベルでの高付加価値なサポートを達成していくことによりDaReDeMoな開発という要求や、さまざまな端末形態に向けた新技術のサポートなどにも取り組んでいくことが出来るようになりそうだ。週に一日はエンジニア探しに奔走しながら実務としての次のステップを考えてお客様のストーリーに呼応する自社技術のストーリー展開などを議論もしている。新幹線や飛行機などを駆使して早朝の間隙を縫って面接をしたりするさまは、候補者となった方々しか知らない暮らしではあるかも知れないが、自分自身が遭遇してきた流れからも自信をもって今は紹介していくことが出来る。
なかなか自分自身の殻を破れずにいる外を知らないエンジニアたちの不満を解決する場所を提供していると自負してはいるものの、そうした方たちの慣性モーメントを止めるのに必要なものこそ熱情しかないと思うのでもある。色を操るカメラの技術者・HSDPAを熱く語るシステムコンサルタントが出来る技術者・プロトコルから画の出方までの感性をもつテレビ電話の技術者・三次元グラフィックスを自在に操るエンジニア・OOPなアプリケーション世界を構築するエンジニアなどなど沢山の魅力的な実務者像を採用対象としている。無論、そうした人たちが遭遇する共有状況としてのQuad社の新プラットホームが提供するものは、エンベデッドな世界で追求するコアなマイクロカーネルであったり、その上で動くLinuxやら、究極の携帯OSを目指す次世代バイナリー環境だったりするのだ。こんなに楽しいテーマばかりが登場する状況に飛び込んで行きたいというような感性のエンジニアが、まだまだ沢山いそうだということをこの週末を挟んで立て続けに行った面接を通じて改めて感じている。さまざまな面白い技術を実用化しつつお客様の実務を通じて世の中に届けていくという遣り甲斐を是非分けてあげたいと今日も思っている。