VOL92 VM開発の舞台裏 発行2001/3/24

桜が咲き始めた、大岡川の両岸には開花宣言が行われるなかでちらほらと咲き始めていた。京浜急行で調査の必要な関係情報を週末の都心に求めて向かった。次世代チップで検討しているVMアクセラレータの技術紹介が特集されていた雑誌のバックナンバーを探していたのだった。携帯でのVM移植については昨年来のテーマであったが、すでにドンナモンジャといった雰囲気で進められている一部の先行キャリアと、力不足で結束不足ともとれるキャリアには隔たりは明らかだった。ドンナモンジャと高らかに宣言されるキャリアに追随するのか、国際標準という名の元にWAPと同様な良い子の一団が形成されていくのには首肯しかねる雰囲気があった。

国内には、有力なVMベンダーが居るのは事実であるが、まだ事業ベースに乗っているのかどうかは課題だった。メイン商品としての期待があり色々な形でシステムや端末に出てきてはいたのだが実際の組込みベースでの商品が数多く離陸していくという姿に最も近い姿が携帯での適用なのだろうと思う。携帯通信料金の高さなどから端末機器メーカーあるいはキャリアからライセンス料金を取得できるだろうというのがビジネス目論見でもある。規格策定などの共同作業などにも腐心するのは必然でもある。実際に、その会社のVMが高速なのかどうかは、採用されるメーカーのシステム設計にかかっている。札びらをつけて高速にすることも出来るし、コストを抑えて速度もあわせて抑えることも可能だからだ。

一定の指針や規格が作られてどんなもんだという状況に入ると、その規定を守るためには規定策定を行ったVMベンダーのものを採用するもよし、自社開発するも善しなのだが。実際に互換性などを追及されるとベンダーのものを採用するようになるようだ。キャリアの力が不足している場合には互換性などの心配からベンダー採用をメーカーに押し付けるような状況になってしまうのかもしれない。いずれにしてもメーカーとしては、キャリアが引いたビジネスモデルのKVMアプリを実装するために必要なコストや開発リソースなどの判断には幾つかのチョイスが出来てしまったようだ。

技術あるいはソリューションプロパイダーというのが最近のQUAD社の方針でもあり、KVMも組み込むことを考えているのだが、VMベンダーの考えているビジネスを肩代わりして携帯業界に提供していき黒子としてのサポートをVMベンダーに委託するというようなスタイルは自負あるベンダーとしては呑めないかもしれない。確かに携帯業界の一部においては圧倒的なQUAD社ではあるが・・・。カラオケの事例などからみても、そんなことが起こりそうな話であり、現在のドンナモンジャといった状況を善しとしているベンダーとの間で条件が擦りあわない可能性もありそうだ。QUAD本社が上位層のアプリケーション開放を推進していることもありこうした枠の上でネスケのような範疇でVMが配布あるいは販売されるようになるのかも知れない。

キャリアの提起したスペックをクリアすればよいのかどうかというのは、結局エンドユーザーが満足するかどうかにかかっている。いままでであれば、音がいいとか・使いやすいといったことが端末の選別に使われていたのに加えてKVMの性能までもが判断材料に加わってしまう事態に陥っている。万人がそうしたモデルを求めているのかどうかは、疑問だが現状の携帯ビジネスには入門機も、ミドル機もなくてハイエンドに集中してしまう事を全体として要望しているようにさえ映る。まだ自由が損なわれている印象であり不健全なビジネスだと感じる。

PCでもなく、PDAでもなく、携帯という世界でアプリケーションやハードでビジネスをしていこうとしている姿は、どこかうそ臭い。流行で使っているのか必然で使っているのかということも含めて麻薬のように使わせて月額数万円にもおよぶ通信費用として個人から請求させてしまう事態は異常である。こうした状況を国として是認しているとも受け取れるのは、携帯ビジネスで景気を向上させようとしているからなのだろうか。個人同士が日常のメールなどの通信手段として使うことにしか使えていない現状で景気が向上していくような雰囲気は、そこにはないと思うのだが・・・。

雑然と置かれた東京駅前の大型書店の書架のなかには、要らなくなった古びた情報までも含めて寡占ソフトメーカーの圧力で出来たコーナーが幅を利かせて結局のところIT某とといった世界を表してはいるもののうまく世界が回っているといえない混沌とした状態を表現していると感じた。全ての情報をアクセス可能にさせるというwwwな世界のようなこの書店の配置には、結局、必要な情報が無いことを納得するのに無用な時間を浪費させることにのみ費やされた。最初から版元にバックナンバの手配をすべきであった。

自宅に戻ると広島・愛媛といった知己の多い地区に大地震が起こり構造の弱い建物が崩壊したりしているニュースが報じられていた。知己の心配もしつつ、サードインパクトともいえる次世代電話もこのような大地震のような位置付けで通信携帯業界に起こり愛ある姿さえもクラッシュしかねないのかも知れない。衛星電話の失敗を知った上で採算が取れるはずの仕事として始まる次世代携帯電話のはずなのだが、果たして・・。来年には色々な形で破綻と展開があるだろう。

我を忘れて、話し込んでいる知己の写真を社内のサイトで見つけた。ラスベガスに居るらしい。1xEVという次世代技術が来年にはチップと登場してくるのだが、そうした話ですっかり夢中になりフラッシュも写真をとられたことも知らなかったようだ。彼が取り組んでいる技術も結局のところ大元の携帯電話あるいは、それに準ずる技術(電話ではないかもしない)の登場で、発揮されるからに他ならない。この、真打登場で健全な世界として離陸発展していくと感じている。例えばフレッツ某というパターンで、あのキャリアが展開するようなことが始まったら面白いとも思うが・・・。

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