VOL101 ひとときの休息 発行2001/5/1

出張を終えて、そのまま現地入りになった。現地土曜出発・日曜帰国で現地入りである。成田から関西空港へのフライトならば良かったのだが・・・生憎と東京事務所からとどいたチケットは羽田から関西空港へのフライトチケットだった・・・。時差ぼけしている間もなくリムジンで、羽田へ向かう。

一時間20分という凡そ予定通りに巧みにリムジンバスは走っていった。日曜のディズニーランド渋滞などを回避しつつ走っていくのは巧みに連絡を無線で取り合うことによるものの恩恵でもある。こうした仕組みを支えているのが業務用のディジタル無線であり懐かしくも頼もしくもあった。

 成田までのルートで必要な範囲についてはカバー出来ているのだろう。こうした仕組みを支えていく日常的な通信を安価に実現したいという目的には適ったシステムだといえる。サンディエゴなどで見かけるNEXTELのシステムと同じスタイルである。グループ車両から通報される混雑状況の生データを全員で共有しあって最適ルートの探索を行い目的である高速安全運行を果しているのである。

空港に到着するやいなや可能な大阪行きの発着便を確認して早い便に振替を依頼した。生憎と関西空港ではなくて伊丹空港行きになった。初めての関西空港への着地を試みたかったのだが仲間が既に新幹線で急行していることもあり早く着く便への振り替えは急務だった。とはいえ、まだ体は時差ぼけのままだった。ビックウィングの移動には既に成田で自宅宛てのトランクは発送してありザック一つの軽装でもありスムーズに乗り込んだ。

大阪行きのジャンボはロスからサンディエゴほどの短いフライトで一時間足らずで到着となった。初めての伊丹空港ではあったが新装なったらしく従前の姿は不明である。モノレールなどの選択肢もあったものの梅田近辺への直行バスを選択した。行列にならび私の三人前で一端乗り込みが制止されたが、幸い最後の一人として補助席の最前列という極めて降りやすい位置を確保できた。

梅田からは良く見える位置のホテルだが極めてアクセスは悪い。ホテルと大阪駅の間には貨物の操車場がでんとあるからだ。シャトルバスがあるらしいのだが、近いとはしりつつタクシーに乗り込んだ。大阪交友会と書かれた懐かしいタクシー会社である。昔特別仕様のアプリケーションを組み込んだ無線機を開発した。

これには特別仕様のマイコンを誂えて標準機のプログラム容量を倍の8KBに拡張して取り組んだ。改造する過程で標準機種のバグが判明したりもした。スタックの不足が原因だったのだ。当時の4ビットマイコンでは15段以上のサブルーチンが呼び出せないのだが、余りにも職人技で機能を押し込めた結果、機能検証という段での内部見直しまでは手が回っていなかったのだった。

対策には、幸い広がったメモリを活用してサブルーチンのインライン展開を行うなどのことを行いスタック領域が段数を超えて使われないことを確認するために14段に抑えて最後のスタック領域が書き換わらないことをもってソースでの静的解析と共に検証結果としたのだった。そんなことを思い出してはみたものの不況によりタクシーでは無線による集客は最近そうとう減ったらしかった。

ホテルで先着していた仲間と合流して翌朝のスケジュールを確認しつつ夕食をとりにホテル界隈の町に出たが、梅田近辺とはいえ少しはなれた街中にはあまり豊富とは言いがたいものだった。デラックスなホテルの雰囲気とは相容れないものの中華の安いチェーン店が見つかり準日本的な食事をとることができた。けして和食とはいいがたいが・・・。

翌朝には本社のプロダクトマネージャを連れ立って関西のお客さまを訪問して二時間あまり新チップの技術Q&Aを行い、顧客要望からの幾つかのビジネス判断を必要としたものの幸いにも日本に社長が来ている時期でもあったのでメールでマネージャーから打診を行い二日以内に対応する旨の回答を行った。慣れない二人の外人を関西空港行きの電車にまで送り届けて新幹線で東京に急行した。

よく日には社長を囲んでのミーティングの席上で新チップ支援などでの最新顧客要望について課題と取組みを説明するなかで社長からも昨夜のうちに連絡を受け快諾し対応していることを知った。QUAD社の中でもチップビジネスのチームは分社を予定していることもあり、このチームとしての結束はより強固になっていくことを再認識できた。QUAD社としてのレポーティングチェインとしても高々8段階位で、全員がカバー出来ていたのだが、分社すると二段階くらいは短くなる。

週末には、初めてほぼ日本スタッフだけでのトレーニングを行った。従来は、米国スタッフによるゆっくりとした英語による説明と日本語でのQ&Aだったので今回の取組みは大きな一歩ではあった。日本語ベースで行う事による負担は大きなものではあるが、掛け持ちをしつつの幾つかのセッションの準備不足には反省が残った。初めてのトレーニングであったお客様からの叱咤については有り難く受け止めている。今までの経験のあるお客様にとっては格段の進歩と受け止めて貰えたようだ。

今回は初めてハード・ソフトの同時トレーニングセッションという離れ業となったのには、拡大するアジア地域でのサポートを同時期に複数進めなければならないという事情と、昨年来拡大してきた国内サポート要員の充実が背景にはある。とはいえ昨年までの状況を見知った顧客にとっては、日本語で説明するという展開には驚いているのかも知れない。

どたばたとする中で、新顧客探索で訪問を金曜日に行った。既にライセンス保有されているメーカーではあったが応用機器としての端末開発などを標榜されているらしくPCベースのエキスパートの方が揃っての中で携帯電話での昨今の多機能搭載のバックグラウンドを説明することになった。幸いにも最新型のCDMA電話機を保有しているために実情の実演には事欠かなかった。

携帯電話ソフトの混沌とした混乱の状況に比べれば、新たに端末開発を始めるという事業の人たちはすっきりと開発が始められそうな状況にあるのだがPCベースの人たちの感性としては使えるものはどんどん流用していくというものがありそうで、従来からのしがらみに縛られるタイプではないようだ。連休明けには特集が組まれるであろう人海戦術の破綻といった携帯業界の流れの新しい動きになってくれればとも思う。

開発の母体が電話機という機能からは突出してきた、携帯電話機という商品分野の仕事においてチップセットメーカーという立場とソフトウェアベンダーという立場の二つをとる中でコンサルティングといった側面やキャリアの指導といった側面あるいはベンチャー企業のインキュベーションといった面までもが、求められているようだ。とはいえ、ひと時のやすみをGWでとることが出来そうだ。

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