帰国早々の土曜日であるが、貴重な細君との時間なので浅田次郎の邦画を見る事で意見が合った。社長からの呼び出しでのオフサイトミーティングもあったので、午後の六時の回で現地合流することにした。オフサイトミーティング自体は、横浜の駅前シェラトンで明日から米国に向かう社長とプロダクト担当のお二人をアプリ環境担当のメンバー達を迎えてのブレーンストーミングとなった。いろいろな開発プロジェクトの進行途上の中で、現実の顧客に向けて提案していくという流れをトレースしていく上で適切な提案が出来るのかどうかが課題である。
二時間あまりの会議は、iPodに仕込まれたマイクによりボイスメモ機能も確認することが出来て実際に録音性能も確認することが出来た。これ以上の録音達成には電源が必要だということも認識できた。音声は思いのほかクリアに録音できるようだった。ケーキセットのご利益があったのかどうかは不明だが社長ら二人に米国で訴求していただくことや、国内組みでフォローすべき内容については確認することが出来たので、週末の時間を使ったミーティングの価値はあったということだと思う。ベンチャー気質が残っている点はこうしたことに皆が快く参加してくれることからも確認できる。
ミーティングを終えて、横浜から関内までJRで向かい細君とCメールでコンタクトを入れる。伊勢佐木町で100円ショップでアイデアウォッチングをしているようだった。場所勘があったので、当たりをつけて程なく現地で合流することが出来た。今回の映画館である横浜シネマリンは、数少なくなった伊勢佐木映画街の生き残りである。ニューテアトルとあわせて封切り映画を上映するのはこの二館となった。最近のシネマコンプレックスとは異なり、それぞれ地下のフロアを使った小さなつくりは昭和からの映画館の末裔としてふさわしい佇まいである。とにもかくにも例によって二人で2000円で映画が見られるのだから感謝ものである。
細君は既に文庫で読破しての鑑賞だったが、私は初めてだったのも手伝い浅田次郎の小説の世界に翻弄されるように導入されていった。初七日までの間の魂の逆送という手続きをベースに組み立てられた映画のペースにまんまと乗せられてしまい楽しむことが出来た。西田敏行と伊東美咲というミスマッチが織り成すペースも含めて絶妙な世界を組み立てられけたものだと感心したのである。ヤクザの逆送状態には成宮寛貴だし、最近は子役で有望な須賀健太や志田未来などもマッチしていた。さまざまな知らなければならない事実というものにめぐり合う中で椿山課長が成仏するに足る状況に落ち着いていくことにも感心した。
和久井映見が演じる中陰役所の担当者ぶりも楽しいし、こうした世界とのつながりがテレビ携帯電話だったりするのも何だかファンタジーでよかった。何でも出てくるドラえもんのバッグも欠かせないアイテムのひとつだし「必要なものが出てきます」という説明と愛嬌たっぷりの宝物が出てくるのも良かったと思う。 心温まる映画だと思います。