業界独り言 VOL137 ヒロシ&キーボード

私の知り合いには沢山のヒロシさんがいる。昔の歌ではないが、キーボードの似合う人が多いようだ。昨年の最終日には、わが導師である宏さまからのご参集がかかり忘年会と相成った。昨年同様集まった神田の鳥料理の居酒屋は、当日が最終営業日となり閉店されるとのことでもあった。厳しい世の中の反映ではあるが、店員の方も明るく頑張って勤めているようだった。ソフトウェア技術者として導師と尊敬する宏さまは、PCの世界をある意味で背負って立つ御仁でもある。

導師を慕い集う仲間は、ソフトウェアのユーザーであったり出版サービスであったりはたまた中華料理屋も副業で営んでいたりと様々な人たちである。「この業界をなんとかするんだ」と息巻く元気の良い技術者もいた。導師とのやり取りは、その後の三次会までもおよび立ち飲みをしつつ最終ラウンドは京浜東北線にまで持ち込まれた。鶴見までの年末ラッシュアワーの中でも決着は見なかったものの彼は技術書の翻訳を自分で進めているようでこれをベースにマトモナ本として、これを書き上げようとしている。

携帯電話業界にあって若手の育成をしつつ先端のソフト開発に携わっている裕さんがいる。横須賀までの遠距離通勤も実は横横道路で海老名近くから夜中に突っ走りつつ通勤されている。かつては半年かけてアセンブラで開発用のクロスアセンブラを開発していた裕さんではあるが、最近ではUMLで書かれた通信プロトコルの開発をしている現場への指導をしているようだ。勉強は常に必要なのがこの業界なのである。夜中には気がつくと自宅についていると豪語するのは手足を既にプログラミングしてしまったロボットにしているようだ。

神技ともいえる、うまくWindowsを使いぬいて安定利用することにかけては天才的な博さんがいる。APIの境界条件で発生する事象に気を配りつつコンパイルされるオブジェクトの振る舞いは畏れをを抱くOSとの境界条件に腐心している。神を欺くには、ここまで徹底したお参りを欠かさないのがポイントだという。VBのデバッグをしつつもVCを利用したりする細やかなデバッグ姿勢が神のみ業とも言える不可思議な事象をクリアにしているらしい。

ソフトハウスから転じて製造業界に舞い降りたソフトウィザードの博司さんがいる。何か物作りの現場でこれからソフトの事件が始まると予言しての転職から8年余り、一通りの仕事が出来たと製造業からの転身を決意して充電体制に移ったようだ。製造業にこそネットワークやITが不可欠とネットワークの仕組みも軽やかに構築してきた。まともなお小言を頂戴できるいまどき貴重な人材でもある。二度目の転職で彼が考える次のストーリーを新年会で聞こうと考えているのである。

ソフトウェアに関する人望で日の丸キャリアから望まれて民間に転出されたのは、洋さんと宏さんだ。この二人を迎えて大きく前進した会社がある。迎えた会社には大きなプラスを与えたようだが、迎えられたお二人にとってはその会社に期待した物作り現場でのベンチャー精神がどのように映り、またそうした人材との新たな出会いがあったのだろうか。ソフト開発に重きをおいたこの二人は確かに多くの影響を与えたのだが・・・彼らも多くの影響を期待していたはずだ。

今は、これら全てのヒロシさんたちとキーボードを交えてのメールや出先での立ち話などでしか話が出来ないのだが、以前身近な場所に居たときよりも活発な意見交換が出来たりするのは、電話で都合を聞いて話をしようとしていた手順から互いの時間の合間を見つけての電子メールは時間も距離も会社も越えての会話を実現してくれる素晴らしいメディアであるからかも知れない。但し注意しなければならないのは電子メールでは配慮に欠けた文章があると、その切り口で怪我をすることがあるからだ。相手との反応や理解を確認できないという難しさがそこにはある。

21世紀が一年経過した。明らかに前世紀とは異なる厳しい一年が明けた。政治にも精神や文化にも経済にも数々の課題を残して明けた一年であった。今では、会社の意地とかメンツとか言う物すら見つけることが出来ない時代になり、一面すっきりとした新たな流れが起きつつあるようだ。土地神話などありえないはずの人の将来話のみで食べていける時代ではなくなったようだ。動機不純な非同期の話などは、霧散してしまい着実な答えのみに邁進しようとしている。健全な時代が来たのかもしれない。前世紀に貯めこんだツケを払うだけのことなのかもしれない。明らかに世紀を越えることで変わったのかもしれない。

導師や先輩のヒロシさんたちにあてどなく、独り言のメッセージを伝えて足掛け四年目に入ったこの繋がりをこれからも続けていき、たまの折には新年会やら忘年会やらで世界中から集うのも良いことであろう。実際導師とのメールが再開してから互いに出会えたのは半年後の忘年会であった。台北や日本や西海岸を相互に移動してしまい中々折り合いが付かなかったのである。出来るのは電子メールである。今、またヒロシあてにキーボードを叩いている。

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