最近では、Plutoなど手塚治虫さんの作品をリライトしている浦澤直樹さんのオリジナルのロングセラーの漫画である。20世紀に少年時代を過ごしてきたものたちにとっての、21世紀の混迷の中で彷徨っているさまを表しているように思うのは、リアルタイムな同世代のせいだろうか。映画のような手塚さんが始めた構図も含めて今でも正統な漫画の描きてといえよう。
さて、鉄腕アトムに書かれていたこと、子供なりに考えたこと、超小型電子計算機の登場を雑誌でよみ、アポロ計画での月周回軌道からの事故での活躍を知り驚き、そうした端末や技術に触れていくことで進路すらも切り替えてしまったことを思い返す。
今私の机には幾つものHPのレトロな電卓が入っている。当時の価格で考えればとんでもない財産だが、中の構造を見ると恐れ入ってしまうほど豪勢で贅沢なものの作りである。今、20世紀に触ってきた技術との出会いを思い返しながら少年から青年を過ごしてきた歴史を思い返している。
そして21世紀には、この作品に書かれているような世界同時多発テロやカルト教団での事件などが起きていることも驚いてしまう。そして残念なことは、21世紀という流れの中で起こっていることは、漫画よりも陰湿で、凄惨で救いがないような事態が起きているように感じる。なにより一番似合わないフレーズは、この作品でも取り上げられている正義といったテーマかも知れない。