世の中には神様の領域にまで達してしまった人たちがいるもので、ソフトウェア開発もデスマーチどこ吹く風で軽快に忙しくソフトウェア開発を続けている人たちがいるのである。デスマーチでないからといって暇なわけではなく、簡単に有用な仕事が出来るようになるとどんどん仕事が増えてしまうのである。ある意味なんともうらやましい限りではないか、つまらないことにこだわった仕様を達成するためにいじればいじるだけ複雑さが増していきインタフェースの数だけ出荷が遠のいてしまうそんな仕事をしている人たちもいるだろう。納期優先で打ち切ってしまう人もいるかもしれないし、結局出来ないままに税金を無駄遣いしてしまった・・・といった人もいるかも知れない。
さて、私が知る神様の領域を侵犯してしまった人の一人に、Dr.Kがいらっしゃる。いつお会いしても若々しくお話をしていて時間の経過を感じないほどいつも前向きで新鮮なのである。こんな書き方をしているとよほど交流があるのかと誤解されるかもしれないが、一度お会いしてDr.Kの魔力に魅了されてしまったものの実践となる段階にまで至らぬままになってしまったのは私の不徳のいたすところであり、そんな出会いからもう10年近く経ってしまったのである。とことんモジュール化を推進していった挙句に、世の果てだと感ずるところにまで達したらしいそんな感じを当時の私は持っていた。いわゆる孫悟空の世界にも似た。しかし、あれから10年が経ちDr.Kの終わりのない活動の中で、釈迦の手の先にまた世界を見たらしいということなのだ。
私が最初に見たオブジェクト指向の世界といえば、system6に代表されるMacintoshやJstarの世界なのだが、とりわけマックのソフトでの個々のアプリケーション連携が見せてくれた世界は、それまでのDOSの世界でのモノリシックな世界とは異なった柔軟でかつ深淵なものだった。UNIXで学んだシンプルなフィルターの概念とは異なるのだがアップル社で決められたしきたりに基づいて機能的に連携と独立がうまく機能しているように感じたのであった。なにかアイデアを練りたいといった状況において、そうした創作活動を支えてくれる道具としてはスムーズに動く世界がどれほどありがたいものか。私もMacに出会っていなければ、このような人生にはなっていなかっただろう。
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