一週間かけて、国内のお客様を巡ってきた。新しいビジネスの始まりの中での難しい状況での、新しい技術の展開フォローにはメールでのやり取りでは伝えきれない部分が多く、米国メンバーを交えての一週間のツアーはタイトなものではあったのだが共通認識を深めるという意味での成果は大きなものとなった。 サポートする側も開発するお客様も新たな枠組みでの仕事の仕方に面食らっているということが最前線での印象でもある。この一年で大きく変わってしまうことになるだろう開発の流れは、確かに効率を上げてその意味での開発生産性を向上することになるのかもしれない。無駄という認識で削減されようとしている部分が本当に意味のないものだったのかどうかは、実はまだわかってはいないのである。
一週間かけて日本のお客様の状況を把握して、さらに一週間かけて次の段階に向けての検討部隊との作業準備などを全体調整しながら準備をしている。サブマリンのように深く潜行(先行)して突然登場するといったことが出来ないのは現在のビジネスを抱えているが故の悩みであり、またそれほどの大規模な投資を対価が見られるまでに長期間続けていくといった余力も日本にはないのも事実なのである。今のビジネスをしつつ、次の流れに向けての検討を重ねていくという当たり前の仕事の仕方ともいえる。ただし、注意すべきは国内メーカーの主体性を失ってしまうような懸念があり強いリーダーシップをメーカーでないお客様が果たしていくというビジネスモデルの両刃の危険について警鐘を鳴らす人もいる。
いろいろなメーカーあるいはベンダー同士の協調の中でビジネスを進めていく上では、やはり密接なコミュニケーションが必要であり、ここで誤解が生じると、その修復には多大の労力を費やすことになるのは、それぞれが自主的に良かれと思って進めてしまうことが結果として時間がたつほどに大きく離反してしまう結果につながるからでもある。修復は早いほどよいのだが、あいにくとそうした誤解に伴う互いが自主的な積極策への動きが互いに見えにくいこともあり気がつくのに時間を要することが致命傷になることの心配もある。現場を離れたトップ同士での積極的な交流などで生じるよい動きも、現場のフォローがあって初めて実を結ぶことになりいろいろな階層の人たちに向けて正しいメッセージを発信続けていくことが必要なアクションとなる。
ようやく春らしい兆しが見える時期に、また渡米してこうした新たな取り組みの渦中で、現実と未来の狭間に立たされている。ロサンゼルス空港近くの桜はすでに満開となっている。日本の桜も、今週には咲きそろっていることになるのだろうか。西海岸でも南部に位置するこの地域での気候は年間を通じてそれほどの温度差もなくすばらしい環境となっている。それゆえに暗い日本海の荒海を見たり、長い冬を越えて春を期待するといった情緒に欠けるところもいなめないのである。四季のある国で仕事をしているお客様と、そうした能天気なあっけらかんとした環境でマイペースで仕事をしている状況の間には隔たりもあるのは事実である。コミュニケーションのベースとなる風土や文化は、対立したりあるいは新しい発見を生み出して相互研鑽ということにもなるので物事を達成させようとする強い意志が最終的な武器となって仕事を進めていくことになる。
時差を超えて、さまざまな現場で起こっている日々の新たな事件や革新などについての情報をメールやチャットで共有しながらのコミュニケーションワールドを過ごしながら、ここで良いコミュニケーションを達成することで始めて良いコミュニケーションツールを提供しうるソリューションベンダーとなるのだろうといまさらながらに思う。