例年のことだが、九月から十月にかけては年度末のイベントで米国本社に行くことが通年行事のようになっていた。既に八年目に入った状況の中で唯一、九月に国内にいたのは正確には米国に行けなかったのは9.11の事件の当日のことでもあった。不幸な事件の只中で、あの映画のようなシーンを明日の朝行くはずの国だとは到底信じられない面持ちとともに徹夜をしてまでも出張準備を進めていた自分の抱えている方向転換に気づかせるまでも時間を要した。会社母体が大きくなってきたことから年度末のイベントに世界中のオフィスから呼び寄せるということを変更する必要にも迫られてきたからだ。そんな中ではあったが新しい挑戦を始めたキャリアの対応で急遽米国にいくことになったりするのはいつも唐突に始まることであった。
MNP目前で俄然力が入っている キャリアのサポートも佳境であり個人的にも仕事的にも忙しく過ごしていた。九月の中旬から二週間ほど米国で仕事をする羽目になったのもそうした状況からである。最近専念しているサポート分野での競争は先端での尖がった部分でもあり、お客様にとっても社内での扱いにとってもいろいろと疲れるような状況になってしまうのはいたし方ないことでもあった。米国出張中に妹からの連絡があり、ケアハウス暮らしをしている父が発熱したということで検査入院をしているということだった。ケアハウスで二人の妹が働いていることもあり父自身は幸福な老後を暮らしているといえるのだと思う。母は妹に家で暮らしており、父のケアハウスとも近接しているのだが認知症が進んだ夫のところへいくことも最近は減っているようで、いわゆる引きこもり状態だという。
渡航前に誕生日の花の手配をしたのは、通年どおりなのだが、今年は急な展開にはならずに予定通り帰国することが出来、九月末の細君の誕生日という大切な日程を日本で過ごす事になったのも久しぶりであり有意義なことでもあった。あいにくと今年手配した生花については花の品質に問題があり、花自体が三日と持たない状況だったことから、この通信販売をしているショップの評価を著しく下げる事態と相成った。プリザーブドフラワーにしなかったことが失敗だったのかも知れないが現物を見ないで生花注文をするということを運営しているお店としてはいかがなものかと思うのだった。花の品質にもまして、誕生日の花として注文したところ余計なオプションとして電子オルゴールが花の箱についてきた。このオルゴールが玄関先を通る都度に反応して鳴ってしまうことも細君には余計な負担だったようだ。花の品質とサービスとしての余計なことが相乗効果となって、すっかり細君にとってのショップのブランド価値は地に落ちてしまったようだ。こんな形でブランド価値は失ってしまうものかも知れない。注意しよう。バースデーケーキを買い求めて帰ってきても不満をきかされるのは私の落ち度ということでもある。