米国同時テロのあの日から、四年が経過した。そんな非日常の中で暮らしているという認識もないままに過ごしていた当時は暮らしていた。翌日からの米国での仕事を前に、準備として追い込みの作業を進めていた矢先での、あの事件との遭遇であった。戦争開戦といった疑問符が頭の中で駆け回ったのは徹夜体制でしていた仕事の次の展開として徹夜明けで向かうはずの成田空港への必要性が失われたことを自己再確認して深夜帰宅のタクシーの中だったように思い返す。あれから四年が経過して国際情勢としては更に混沌とした状況の中にいる。そんな中でも経済活動としてのアクティビティは秩序の枠の中で進められていて国策同士のぶつかり合いの中で中国にまで出張して日本メーカーのサポートをする時代を迎えている。
国民に聞いてみようという掛け声一つで解散となった選挙が行われ想定以上の結果となったのは新時代の到来といえるのかも知れない。多数決で決めるという論理が組めないほどに破綻した国会で明確な政策を打ち出せないできた与党からの転進にはふさわしい幕開けかも知れない。無論、この政局が安定していると考えるのは早計で、毎回サイコロの目のように結果が変わる時代になったのかも知れない。戦争の反対は平和ではなくて、秩序ある状況だという。戦争が手段だと考えれば、対抗する手段は外交交渉であろう。外交交渉にいたるまでの民意作りというよりも国民世論形成までも国策として刷り込みを徹底的に果たしている隣国などは、その行為も含めて積極的な外交交渉を戦時下のような面持ちで進めているといえる。
日本の平和ボケした状況で自らの国の歴史もまともに学ぶことも出来ない状況を正すことすら、出来ないのは歪曲した歴史のみを教えている隣国からの横槍に同調するようにすでに刷り込まれてしまった人たちで国が左右されるように構成されているからのようだ。ある意味で今回の選挙結果が新たな秩序を求めたのだとすれば、平和ボケした政党を選択できない状況になったのは致し方ないかも知れない。日々の経済を活動させていくために政治が動いていくが故に、隣国との経済関係と歴史問題を打ち出す政治としての建前との矛盾に遭遇してしまうのだ。まあ経済の関係がないにも関わらず拉致などの政治的な関係でのみ修復が図られる側面においては戦闘能力を含めた自立できない自国の現状の中で何の解決策も打ち出せない事情でもある。
米国の政治の影ふみのみをしていても仕方がない。3Gの開発戦争が終結して3.5Gや4Gに戦いの場は移っているというのが携帯業界の実情だろう、すでに国内の状況は戦いの矢尽き刀折れといった状況がメーカーには見え隠れしている。4Gこそ規格を自国の利益にまわせる様に実践実装を行い先陣を切り進んでいるというのが国内の先進キャリアの状況でもある。しかし、世界のバランスの中で果たして3Gすらまともに確立させないままに2Gを引っ張ろうとしている欧州の実情には、ユーロ圏での国情の改善が図られないままに、コスト高となる新方式に移行することをまだ国民レベルで認識していない状況が本来の遅れの理由なのだろう。3Gとしてのアプリケーションの面白さを使いこなそうとするのはむしろ東アジア圏なのかも知れない。
少なくとも従来の日本にはそうした勢いがあったし、バブルとはいえ文化的な先進性はアジア諸国に対して羨まれるものであったのは間違いない。憧れの日本の情けない実情は、国際競争力を失い自分たちの今までの状況を維持することすらままならない事態に遭遇してコスト見合いまで合理化を迫られる中でイケイケドンドンの状況からのギアチェンジに戸惑っている。国内メーカーや国内キャリアに元気になってもらうのは、Quad社のビジネスにおいても一蓮托生の必要かくべからざることである。あまねく技術を提供していくことこそが、Quad社の目指しているものであるからだ。技術の受け取り手であるメーカーのビジネスモデルに矛盾や採算性が問われている状況に対してもソリューションを提供しなければならないのは最近の一番の課題でもある。
ある意味で今までは防御を張っているようなライセンスビジネスからの発想だったところから踏み出してOEMメーカー自身の生産性を高めていくために力を注いでいくことが求められ始めているという時代の変革を一昨年辺りから真剣に考え取り組んできた成果がそろそろQuad社にも出てくる状況になってきた。これから、OEMメーカーに福音をもたらすことが出来るかどうかが問われている最大の期待であり課題であるだろう。メーカーの開発の痛みをよく理解するためには、メーカーと同じだけの端末を仕上げるということの取り組みをするという方向性もあるだろうし、そうしたアクティビティを共有技術としてのビジネスモデルを描く3rdパーティと協調路線を結ぶということもあるだろう。有識者である元気をなくした会社から元気な気持ちを活かせない技術者を受け入れるという方策もある。
開発という課題が段々なくなってしまうというのは、製品あるいは分野が成熟した証拠でもあるだろう。たとえば無線LANの技術などはコスト力も含めて日本が手がける部分などなくなってしまい企画することぐらいしかなくなってしまっているようだ。おかげで大変安価なユニットやアクセスポイントが手に入るようになっているのはありがたいことでもある。携帯電話の開発現場においても同様で標準化されたベースバンドLSIやアプリケーション環境を使い始めるとことのほか開発する項目がなくなってしまっているという現実に直面し始めているというのが最近のメーカーでの状況でもある。無論メーカーとして取り組むべきテーマが無くなったわけではなく、共有技術として解決されてしまった分野を手がけていた技術者の仕事が失われているという見方も出来るのかも知れない。
エンジニアの将来はいかようにでも会社としての経営の方向性の中で活用していくことは出来るのだが、明確な将来の方向性を示すことなく経営活動としての設計開発のサイクルが無為に過ごされたり開発成果を出せないままに破棄してしまったりということが続くと、技術者としての仕事への興味も意欲も失せてしまうということになる。そんな状況も相まって閉塞感が漂っているのが最近の携帯電話業界には多いようである。仲良く他社と協業しているという姿がギコチナイのは、当然だともいえるだろう。共同開発をしてきたメーカー同士ということでも現場の技術者にとっては辛い仕事になっているようだ。技術提携という流れで、独自の部分をどうやって作りこんでいくかという点が、特に頭を悩ませるのだろう。
プラットフォームとしての枠組みを各通信キャリアごとに提供することが求められている。そして各OEMメーカーが従来培ってきたそうしたノウハウをOEMメーカー自身が組み込み拡張していくことはコストが許さなくなっている。OEMメーカーは、完成度の高いプラットホームを求めてより矛盾が広がっていく状況にある。ノウハウを持つエンジニアこそチップメーカーサイドでの仕事に移動すべきだといえるのである。無論プラットホームベンダーも自社製品のみでそうした要求に応えられる物づくりをしようと画策しているのだから、好機といえるのである。こうした技術をキャッチアップしてしまった場合には、また別の技術を開発していくことになり、そうした前向きに幅を広げていくことも求められるのは技術者としての仕事として当然だろう。
あまり自分自身の仕事の枠組みを殻に閉じこもるようにすべきではない。人生一生勉強が続くものであり、特に技術者のライフワークはとくにそうだろう。プロトコルエンジニアからマルチメディアのエンジニアに転進したりするのもごく普通のことである。リアルタイム処理や、コンパイラの開発や、RTOSの開発、ICEの開発、端末設計から、システム商品の開発あるいはSDKの開発や講習会でのカスタマー教育など多面に亘るソフトウェアエンジニアの仕事を次々と変わって実践していくということなどは、各自の技術者人生の中で必ず遭遇することだと思うのである。それぞれの課題やテーマの中で自身が必要とするスキルを身につけ、それを用いて解決をしていくといういことが回せるのがソフトウェアのエンジニアというものだと言えるのである。
マクロやミクロの両方の視点をもち、現在の答えと将来の取り組みへの手がかりを考えながら日々の仕事をしていくということになる。アプリケーションを開発していくという上では、必ずしも同一の方法論で統一すべきではないという点に到達するのは、VBなどで開発している最近のシステムアプリケーション事情からも導出されるべき事由である。携帯電話のアプリケーションをJavaで書くべきなのかどうかという点なども興味深いテーマではあるものの、幾つかの背景から、そうはならずにWebで進められているXMLアプリケーションに注目が集まっている実情でもある。ようやくこうした成果が登場してくる時代になり、来年の端末開発では必須の機能やメソッドとなってしまうようだ。これが、携帯電話開発競争の新たな武器といえるのかも知れない。
白物電話機を開発することで、異なったUIを持つ違ったターゲットの電話機を構築していくことが出来れば、開発力の向上に向けた大きなステップになるはずだ。そうした状況で考えれば、メーカーとして拡張すべきサービス部分の開発を手がけたり、多様なユーザーに向けたユースケースでの実装評価を始めたりそうした研究実践を始めるのは、もう明日のテーマとなっている。そうした状況をキャッチアップしてもらうこともQuad社の伝道者としての仕事といえる。アプリケーションそのものの開発のあり方を問い直すような状況を提案するのは、画期的な効率改善を必要とする国内メーカーに向けた、テーマとして捉えて来月にはそうした技術説明会などが始まる予定だ。
今年のUI構築技術としてのXML応用技術は、昨年などはOEMメーカーが実践してきたWidget化を追いかけてきた状況からいえば、追い抜いてしまった印象がある。停滞している国内OEMメーカーの状況などからいえば、致し方ないことも知れないが、Quad社としてはOEMメーカーが成果を出してもらうことでビジネスモデルが回るのである。OEMメーカーの成果に繋がることを研究率先推進していくのは、社是ともいえる。そうした目的に、研究投資を積極的に進めていくという健全なサイクルを進めているので、ライセンス費用を有効に活用しているとも言えるのである。システム化技術としてのマイクロカーネル化も、ワンチップ化での3rdパーティOSの実装などを真面目に取り組んでいる結果ともいえる。地道に開発研究してきた成果を伝道していくことの喜びを分かち合いたいものである。