携帯ソフト開発のビジネスモデルの変革期に差し掛かっているという認識は、発注元以上に強く認識しているのがソフトハウスだ。知己のソフトハウスも違わず、発注元からの発注高の減少に迷走しているらしい。開発要請に応えて拡充してきた開発部隊であり、そうした従来のイケイケムードは無くなってしまったらしい。ある開発規模を契機に投下工数の関数が指数的に伸びるようになってしまったらしい。無論こうしたパラメータはソフトハウスと発注元の会社のビジネスモデルとの相互関係によって成り立っているのでソフトハウスに非がある訳ではない。あくまでも発注元の要請に応える黒子なのである。発注元での開発実績程度がソフトハウスが会社概要に掲げられる範囲であろう。同業他社に開発人員を提供した場合には業務機密保持という壁などが厚く立ちはだかるのがソフトハウスビジネスの難しいところである。
ソフトハウスの積極策というと、実績を武器に同業他社に展開していくということでもある。社内的にはノウハウを共有していくという姿がソフトハウスの開発効率を高めてひいては、発注元にとっても魅力的なものとなる・・・というのが日本的なモデルといえる。そうした事を狙って知己の会社を紹介したこともある。端末開発を闇雲に進めているお客様にとっては経験深いソフトハウスを紹介することは福音に聞こえるようだ。まあCMMのレベル5の会社への発注が功を奏しないという事実も確かにあり、発注元のビジネススタイルに成果が依存してしまう嫌いがあるのはしかたがない。ソフトハウスが受託開発をしても版権が納品先に残り、瑕疵対応といっても次のビジネスを受諾する中で対応していくというのが、実像として見えてくる。ソフトハウスが攻勢に回れないのは、そうしたことが背景にあるとおもえる。
開発効率の改善を目指して、さまざまな技法などが編み出されているにも関わらず、実際の開発に際しては抜本的な手が打てないでいるのは、ソフトウェア技術者の保守志向が挙げられるのではないか。確かに近年発生した携帯電話の回収騒ぎに端を発する問題で、「携帯電話の信頼性」についてはPCソフトと同列に扱えないほどの領域に行っていることがあげられるかもしれない。回収し対応する費用は数十億円にも達するといわれているのであっという間に利益も飛んでしまうのが実情でもある。開発費用が端末コストの大半になってきた昨今開発コストの削減のためにハードコストの増加には目を瞑ろうとしている動きがつい先日まであったほどだ。残念ながら、そうした過保護な状況が破綻してきたのが現在でありアプリケーションの効率的実装についてハードソフトの両面から軽量化戦略が生まれつつある。