何をしに三週間も出張に来ているのかと言えば、幾つかの複合的な理由がある。本来ならば個別に往復するところなのだが、航空券の費用も身体への負担も高くつくので途中の一週間は通常の作業を米国で行うことになったのである。お客様と協同の作業が先週の一大イベントであった。デザインレビューの実施なのである。キーカスタマーへの注力は着実な展開を図って、米国技術者のリソースを最大限に活用してもらうという意味においても訪米してもらうのがベストなのである。枯れた商品であれば、そこまでする必要も無いのだが新分野の商品技術を適用していく上では慎重を期するのである。こうした携帯電話業界にあってビジネスクラスで五名の技術者を送り込んで来られたメーカーの意気込みもうかがえる。
広範にわたる携帯電話技術において、提供する技術範囲も広がりを見せてきていて三年前にジョイントしたときには手薄に感じられていたアプリケーション開発にも専任部署が生まれていて、チップ開発部門と共同で分担するようになってきた。しかしながら、チップ部門で彼らのミドルウェアを提供する上での理解については実際にアプリケーションを開発していないメンバーにとっては理解や意識を共有することは難しいように見受けられる。実際のお客様の開発支援作業をしているとお客様からの素直な質問の投げかけが、互いの責任分担をクロスオーバーすることが発生した場合も含めて提供している技術については相互理解を進めておくことは肝要である。
クロスオーバーしている範囲の仕事を進めていく上での壁は、仲間に対して「なぜ、その活動が必要なのかを言明しておく」という事さえしておけば、オープンドアな文化であるので事業部が異なっていても問題はない。互いの意見交換をしていく上では、ホワイトペーパーの交換ならびにミーティングが必要であると思う。今回は、お客様支援の週の後半に当該事業部の仲間も米国に来ていることもあって予めマネージメントを通じて意見具申をしておいてミーティングを取りつけておいた。チップ開発という立場でプロトコル開発に注力しているQuad社ではあるが、アプリケーション開発というスタンスでの理解については部品事業部ではもう一息という感がある。