業界独り言 VOL129 無線ブロードバンドの迷い道

現在・過去・未来・・・、あの人に逢えたなら・・・。すっかり迷い路に入り込んだしまった感のある携帯電話業界である。過去に定義した未来はどこかへいってしまい、現代の収拾がつかなくなっている。ブロードバンドISDNという言葉も、すっかり意味をなさない時代になってしまっている。ISDNを解約してアナログ契約に走る姿など誰も予想させられていなかった。

武蔵野を訪ねたり、三浦半島の山の上をハイキングで詣でていた時代に書き綴られてきた未来日記は、そのとおりの活動をしても幸せにはなれないという電波少年のオチになったりしている。突然訪れた地震で剥離してしまったハイキングコースは安全柵も講じられていない千尋の谷であったりもしている。宮崎駿ならば飛翔という荒業で次の画面に飛び移るシーンかも知れない。

ゲルマニウムからシリコンへの時代に突入しようとしている。PNPからNPNに移行する時代なのだ。この場合、少しPに必要なのPの層は限りなく薄くすることと、適当な不純物の混入なのかも知れない。分厚いNPNではシベリアケーキになってしまう。新しい工法を学びつつ新しい次代に突入するという未来日記の新章は期待できるのかもしれない。時代考証もつかの間に、身のこなしも軽やかにADSLやら光やらと華麗に転身しようとしている部隊もある。

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業界独り言 VOL128 携帯電話チップビジネスモデルの難しさ

QUAD社は、CDMA携帯電話のライセンスならびにチップセットの開発提供をビジネスと していて、チップセットと対になるソフトウェアで実際の電話機として必要な基本的 な機能までをカバーする一式のソフトウェアをチップの種類毎にライセンス提供して 開発費用の集約化を果たしている。色々なニーズに応えるべくチップ種類が急激に増 えてきたさまは、QUAD社にとっても正念場であろう。フラットな組織で柔軟に問題に 対処しつつ組織自身も変態しつつ対応している。基本的にソフトウェア技術者が全員 社員であるということが国内メーカーとの大きな違いであろうか。ソフト開発費用 は、ソフトライセンス料として各利用メーカーから戴くわけである。
 
携帯電話の端末開発にとってのソフトライセンス料は高いのだろうか。一機種で100万 台以上売るとすれば、ライセンス費用はコインを下回ることになるだろう。むろんこ れとは別に更にチップ組み込みでの端末毎のCDMAライセンスも有るが、これは本社部 門が受領する仕組みになっている。将来に向けた開発費用などはそうした原資に基づ いて本社が運用している。我々の事業であるチップ事業としてはチップ価格とチップ シリーズ毎のソフトウェアライセンスが収入の源流である。現在、QUAD社のDSPの命令 セットは非公開なのである。
 
非公開であるがゆえに、CDMAの処理方式のノウハウが隠せると考えたりもしたのかも 知れない。数年前のQUAD社の展示会ブースで見た記憶(転職前なので曖昧だが・・・) では一時期DSPを公開するという方針もあったりしたようだ。しかし、同様な商品を展 開してくるメーカーの登場などからか、そうしたビジネスモデルはなくなってしまっ たようだ。QUAD社のライセンスを受けて開発してきたメーカーが自社チップの開発を したりした例もあるかも知れない。実際問題IS95のチップを作っていたメーカーは幾 つか存在する(存在していたと書くべきか)。しかし、そうしたCDMAチップセットメー カーは、そのビジネスモデルを実現できなかったのも事実である。
 
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