VOL99 デジタル無線の巻き取り 発行2001/4/19 米国

米国でのトレーニングセミナーを終えた。新たな機能を盛り込み性能の話題が尽きないチップだったが、十分な性能を展開できることが明らかになった。これは、ビールのオツマミにも十分合いそうな状況である。日本で起こっている、新たな機能競争との接点で新機軸をも組み込める可能性も出てきた。

マルチチップにしなくても十分な性能を出せるということは、素晴らしい事だ。こうしたソフトとハードの両面を追求した物作りが日本では出来なくなってしまっているのだろうか。実証主義として実動作をさせて性能余力を検証していく姿は内部で見ていても中々のバランスである。性能は出来るだけあげておいて・・・という手合いのソフトウェア技術者が多くなってきたのは全体の風潮である。ただし日本だけではないか。

ソフトダイエット大作戦に向いた施策として中間コード形式の利用が功を奏しそうだ。実際にOSとして採用したものがC言語開発よりもコンパクトな容量で応用を見せ始めているようだ。マシンが高速になってきたことの裏返しともいえるのだが、高速になった性能をソフトウェア屋さんが勝手に使いきっているという声の多い昨今のハードウェア屋さんからみると痛快な技術である。

JAVA狂想曲が流れている現状からは、ハード屋さんはコストダウンという観点から離れてしまっているソフトウェア屋さんの状況との付き合いで疲弊してしまっているのだろう。ソフトウェア屋が間違いを侵さずに納期に仕上げるということのみに注意を払うようになってしまったのは誰のせいなのだろうか。あらたなオツマミを用意してビールでも呑んで貰うしかないのだろうか。

米国では、携帯電話でもないデジタル無線が日本とは違って結構普及している。大ゾーンをカバーできる広いエリアとグループ通話などのシンプレックスという通信形式が安価にサポートできているのが売りのようだ。タクシーの運転手がもっているのは、こうしたデジタル無線である。これから電話も掛けられるのが味噌でもある。同様のデジタル無線は日本でもあるらしいが・・・。

社名自体が次世代電話という、このデジタル無線を運用している会社も昨今の第三世代という変化の中で変貌しようとしている。独自の技術で大ゾーンをカバーするデジタル無線ではあったのだが、機能不足などアプリケーションよりの話が出てきたのだろう。かつて無線では世界一を標榜していた会社の技術だったのだが無線から携帯への移行でこの会社も埋没してしまったようだ。

次世代電話という会社が選択した技術は、CDMAである。この技術は潰しが効くようで設定パラメータ次第で大ゾーンの運用が出来るようになるのだ。実際問題として、すでに100kmというサービスエリアで利用実績を広大な豪州では達成したらしく、こうした実績も採用の条件だったのであろう。さらに、無線通信につきもののグループ通話という応用は既にIP通信で達成できていることから話が急展開しているようだ。来年にはこうした移行が本格化する。

日本での同様な業界では、利権争いに終始しているようだが、米国で同様な物を利用している姿と何が異なるのかはよく判らない。CDMAという携帯電話が特殊用途と見られていたデジタル無線すらも巻き取ろうとしている姿には、携帯電話で始まろうとしているプラットホーム化の実現などが、これからの展開に欠かせないことになろうとしているのだと思う。

同様な周波数帯を利用しながら、利用率が上がらないデジタル無線の現状を前にしていると携帯電話で逼迫した事態とのギャップがより強く感じられる。ビジネス用途ということに限ったデジタル無線のあるべき姿としても価格破壊とサービス改善の両立を果すべき時期に来ているのだが、今までの延長上で技術開発をしている事に誰もクレームをつけないのは何故だろうか。

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