VOL12 2000年入梅 2000/06/08

初夏を思わせる日差しの中、入梅が宣言されそうである。昨年のヘッドハント騒動からはや一年が経過した。渦中で相談を差し上げた方の訃報が届いた。読み返してみても当時のことは鮮明に思い返すことができる。辛口のコメントをいただく方ではあったが、それだけ親身に話を聞いていただくことができたとおもった。ご恩を返すことは、「継続は力なり」ということであるに違いなく、元気に快活に過ごしていこうと再度誓うしだいでもある。

最近のLINUXの世界は大きく広がりを見せている。クローズな世界での暮らしに懲りた人々や、オフコンなどの美味しい仕事にあぶれた人たちが手に業を身につけて切磋琢磨しているようにも見える姿は頼もしくもあり健康的にみえる。要求されるサービスの速度や機能は既に達成されていてそれを構築するための方法論にのみ終始することが可能になっている。こうした状況でSOHOな暮らしをはじめてネット起業する人たちも多いようだ。こうした要求に応えていくのがSEであるならば100万人のSEを唱えてきた業界から、ムックな資料のみでサーバーを立ち上げてサービスをしていく姿が続いてくるホームサーバーな世界なのであろうか。ムック本を読み漁る高校生SEが会社のサーバーを更新したりしている時代なのだ。新聞や就職情報誌などで華やかに脚光を浴びているSEという姿は既に変容しているのではないだろうか。

セキュリティをオープンソースな中に構築していく、地道にセキュリティホールをつぶしていくことが、やがてムック本として集大成された情報をさらっと読みふけって実現してしまう若い力でコストダウン実践されてしまう・・・。そんなコンビニエンスな時代なのかもしれない。

エンベデッドな世界は、やはりオープンソースな世界なのだろうか。各社毎にソースアーカイブを構築して自社のアーキテクチャを構築しておられるようにも見受けられる。最近流行りのブラウザ組み込みやかっての赤外線からブルーテュースまでも含めて自由な部品を構築しつつ無線携帯端末としての基本性能をギャランティしているというのが、その姿なのであろう。無論ITRONの時代でもあり、各社でこうしたOSも含めたモジュール管理が出来ていると考えたりしている。まだコストから逼迫するリソース不足を味つけする巨匠達が仕上げのバランスをみつつしているのだろうか。最近はcdmaとPDCを一体化するどっちつかずではなく国際ローミングという端末までも簡単に出てくる時代になっている。大御所はさすがである。値段をさておけば、こうした端末を短期的に開発が完了してしまうのは並々ならぬ物がある。コンビニエンスな環境とするには、きっと求心力のあるプロジェクトや組織があって達成しているに違いない。

あるメーカーは80名ほどのソフトウェア技術者の体制で8機種をこなしていると聞く。たしかにPHSもPDCもCDMAもあらゆる機種開発がなされている。我が社も200名弱の技術者の体制でcdmaの基盤技術開発を進めている。またあるメーカーは社員のみで開発しているともきく。このメーカーではcdmaしか開発していないのだが、貴重な人材は出産退職するとしても活躍できるような配慮がされているそうだ。

開発量をこなしていくために必要な人材のボリュームはソフトウェアのベースとなるものが構築されている、あるいは提供されているという形態の場合には、結構理想的に機能しているのではないかと考えたりもする今日この頃である。

コミュニケーション能力を高めて相互の力を発揮できるようにイントラインフラや人事考査などでの語学力などに重きをおくことで、国際分業して解決できつつあるのではないだろうか。

訃報が届く中で、うまく機能している顧客のかたの支援をしている。相談に符合するような内容が閃き回答と対策ファイルを作成して送付した。確認をとるべく電話をしたところ、「お帰りがけの所を申し訳ありません。」と応対され「いえ、確認をしてから帰宅するつもりなので結果を教えていただきたいので連絡をいただければ・・・」と返した。聞けば同僚も同様の経験をしているらしく11時過ぎに電話をとったとき「こんな夜中に申し訳ありません」と言われたそうだ。こうした状況が夜の7時30の電話からも周囲の風景が思い浮かび健全な開発の姿を垣間見たような気がしている。訃報の重苦しい気持ちをやわらげてくれた気がする。

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